複数で演奏するのは楽しい
by 奥田亮
9月に入ったとたん、急に涼しくなりましたね。こちら信州は朝晩寒いぐらいで、夏の短さを実感しています。ということで、ひょうたんもそろそろ終わりかな、もうこれから実がなることもないだろうなと思いながら、松を侵食しはじめた蔓を眺めていました。そしたら、あれ? なんかなってるじゃないですか。UFOだと思いますが、ちょっと先が膨らんでいてIPUが扁平したようにも見えるのが、松に絡まりながらぶら下がっています。もしかして、UFOとIPUが混ざった? 形としては、「ダルマ」の品種に似た形です。かわいいですね。願わくはこのまま無事成長し切らんことを。もうこれ以上蔓を伸ばすことはないので、そのエネルギーを実の成長に使ってもらうために、脇蔓など不要な蔓を大胆にどんどん切っていきました。
ひと通り蔓を切って棚の全体をぼんやり眺めていたら、あれ? 上の方にもう1つ実がなっています。これは明らかにIPUです。やっと1つ、結実したようです。そこそこ大きくはなっているので、受粉はしたのでしょう。その後数日たって見てみると、また少し大きくなっていて、表面にピカピカ艶があって、元気そうです。今のところ大丈夫そうです。このままちゃんと育ってくれたらいいのですが。
さて、6月9日にスワロー亭で開催されたYoshitake EXPEさんのライブの様子がYouTubeにアップされました。
EXPEさんは、Space Guitarと称される、エフェクターを縦横に駆使した瞑想的な音世界を作り出すアーティスト。対局にあるような我がひょうたん楽器に興味を示してくださり、少し共演もさせていただきました。動画のタイトルもデカデカと「瓢箪楽器 Hyotan Session 2021」! ライブは、冒頭私が一人で少し演奏、その後EXPEさんが登場してしばらく一緒に演奏しました。ひょうたんとエフェクトギターというレアな組み合わせは、意外と親和性があり、ずっと演奏していたい心地好さ。また共演できたらいいなあ。
さらにこのライブの何よりのハイライトは、最後にお客様に参加していただいてニワカに結成されたひょうたんオーケストラの時間。曲はまず、野村誠さんが作曲した「せーの」。せーのと言うと音を出し、またせーのと言ったら音を止める、という曲。楽器演奏という経験が少ない、あるいはほとんどない人たちが、ヘンテコな楽器に恐る恐る触れて出す音の重なりは、フラジャイルでなんともいいんです。そしてなんとEXPEさんはイカレレを演奏! さすがにマトを得た音で全体をホールドしています。
よし、これでみんなでツアーに行こう!という言葉も飛び出して、笑いのうちに楽しく時間は過ぎていったのでした。やっぱり複数で演奏するのは楽しいですね。でれろん!
(590日目∞ 9月6日)
- 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。