憎きひょうたんの敵を知ろう!

by 丸黄うりほ

①ふじっこさんのイプ。病気にやられました(泣)

②イチオシ本!『農家が教える 農薬に頼らない病害虫防除ハンドブック』(農文協)

 

ふじっこさんが大切にしていたイプの「ドラッグス」が突然枯れてしまいました。大きな実がなって、とてもいい感じに成長していたのに。

どうして?どうして?とても悲しいですよね。でも、泣いているだけでは前に進めません。きょうはちょっと辛いけど、その原因を考えていきたいと思います。

じつは、今回の「ドラッグス」のようすは、私が数年前に育てていた千成ひょうたんのようすととても似ているのです。そのひょうたんが突然枯れたときも、ちょうど実がなり終わって、株に少し疲れが見え始めていた時期でした。おそらくひょうたんにとって実をつけるというのは全身を激しく疲労させるのだと思います。そして、そこを狙って病気は牙をむく。しかし、この憎き病気は、いったいどこからやってくるのか?

私はひょうたん栽培を何年か続けてきて、敵の発生にはパターンがあると感じるようになりました。ひょうたんの敵というのは、ひとつは害虫、そしてもうひとつは病気です。自然界にはものすごくたくさんの種類の虫や、病気を引き起こす菌がいますが、意外と専門化しているというか……、ひょうたんを選んで狙う虫、病気の種類はそれほど多くはない。

ナメクジ、ウリハムシ、ウリキンウワバなど、ウリ科植物を好む虫に気をつけねばならないのは苗が小さい時期と晩年です。壮年期のひょうたんにも虫はつきますが、致命傷になることは少ない。

ひょうたんがかかる病気で最もありふれているのは、葉に白いカビがはえるうどんこ病と、黒い班ができる炭疽病です。これはどちらも梅雨と秋口に多発します。予防法は、とにかく病気になった葉を早めに取り除くこと。かなりひどくなってしまっても、この二つの病気が壮年期のひょうたんの命取りになることはめったにありません。効果のある農薬もたくさんありますし、写真②の『農家が教える 農薬に頼らない病害虫防除ハンドブック』(農文協)には、お酢や植物エキスで病気を退治する方法もたくさん載っています。

そんなわけで、ひょうたんの敵、憎きラスボスは別にいます。

元気いっぱいのひょうたんの命を突然奪ってしまう本当に恐ろしい病気は、つる枯れ病とつる割れ病の二つ!!

まだ病気を経験したことがないヒョータニストのみなさんも、この二つには厳重注意してください!! しつこいですが、もう一度言いますね。つる枯れ病とつる割れ病です!!

この二つ、よく似た名前ですが原因は別で、症状も違います。

つる枯れ病は、ディディメラという菌が引き起こします。蔓が茶色っぽく変色し、とくに地ぎわの茎が茶色くなります。葉にも茶色い斑点ができます。そして、じわじわとひょうたんを蝕み、ある日一気に倒してしまうのです。

つる割れ病は、フザリウムという菌が引き起こします。こいつにやられると、蔓がところどころ割れて赤茶色の液が染み出します。葉は日中萎れて夕方になると戻るというのを繰り返し、ある日突然枯れてしまいます。青枯れの状態です。

こいつらに共通しているのは、どちらも植物がないときや寒いときは土の中やプランター、支柱などの資材にくっついています。ものすごく劣悪な環境でも生きていて、標的を見つけると活性化する。つまり、ふだんはまるでそこにいないかのようにして存在している。

目に見えないやっかいな敵と戦うには、予防しかありません。

もしかしたらかかったかもしれないと感じた時、両方の病気に効く殺菌剤はベンレートとトップジン。つる枯れ病の予防にはダコニールも使えるようです。

大切なのは栽培が終わってからの管理で、病気になった株は捨て、そのタネは翌年蒔いてはいけません。使った土も捨てるか土壌改良が必要。プランター、支柱などの資材は消毒する。めんどうですが、これをしないとまた翌年も同じ病気が出てしまいます。

これらの病原菌の生態、性質などについても、『農家が教える 農薬に頼らない病害虫防除ハンドブック』にとても詳しく載っています。1冊もっていると「家庭の医学」のように安心できます。

(578日目∞ 8月19日)