ひょうたんは初秋の季語

by 丸黄うりほ

①涼しげなひょうたんの懐紙を見つけました!

②今の季節にぴったりの意匠

③千鳥屋宗家の「太閤はん」でひょうたん尽くし

 

大阪・天満橋のギャラリー「The 14th. moon」で、とても涼しげなひょうたん柄の懐紙を見つけました。

広い空に、のびのびと蔓を伸ばすひょうたん。葉脈のはっきりとした元気な葉っぱと、くるくると螺旋を描くかわいい巻きひげ。そして、ぶらぶらと下がる青い濃淡のひょうたんは、少し細長い形をしています。懐紙を広げてみると、上の蔓に6個のひょうたん、下の蔓には3個のひょうたんがあしらわれています。3つ揃って三拍(瓢)子で縁起良し、6つ揃って無病(六瓢)息災のお守りというわけですね。

商品名は「四季の懐紙 夏瓢箪」。実ったばかりの青いひょうたんの意匠は、まさに今の季節にぴったりです。さっそく、この懐紙にひょうたんモチーフのお菓子「太閤はん」をのせて、甘さをおさえたグリーンティーとともにいただいてみました。

ああ、夏のティータイム。夏の幸せ!

そうなのです、この懐紙にもあるように、青いひょうたんといえば一般的には夏の意匠というイメージですよね。ところが、「ひょうたん」や「青瓢(ふくべ)」、「ひさご」、「夕顔の実」などの語を俳句歳時記で調べてみると、秋または初秋の季語だと出てくるのです。

一年を24等分した二十四節気では、8月7日ごろから立秋と呼ばれる季節に入ります。暦ではここからが秋の始まりとされているのです。立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降の6つが秋。このうち、初秋と呼ばれるのは立秋と処暑で、9月の初めごろまでとされています。

じつは、この区分と季語の割り当ては、ひょうたんを栽培している身にとっては、たいへん理にかなっているなと感じます。夏といっても7月ではまだ大きな実がぶらぶら下がっているという状態までいかないことが多い。ひょうたん畑が最も素晴らしく、誇らしく、驚嘆すべき実りの姿を見せるのは8月。それも、ちょうど立秋に当たる8月初めから中旬ごろだと思います。

そういえば8月8日は、全日本愛瓢会という日本で最も権威のあるひょうたん愛好家団体が定めた「ひょうたんの日」でもあります。「8」の字がひょうたんに似ているからこの日になったそうですが、季語としてもジャストなタイミングです。

まだまだ暑いけど明日から立秋。そして明後日は「ひょうたんの日」。ゾロ目なのに祝日でないのが残念だなぁと毎年思っていたのですが、なんと今年はオリンピックのために8月8日が祝日になりました。

「山の日」らしいですが、ヒョータニストにとっては「祝・ひょうたんの日」です。ベランダにぶらぶらと下がるひょうたんを眺めながら、ひょうたんの懐紙におつまみをのせて、ビールで乾杯☆☆したいと思います。

(570日目∞ 8月6日)

※8月9日(月・祝)の奥田亮「でれろん暮らし」はお休みをいだきます。

次回571日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、8月10日(火)にアップします。