ひょうたんは、雌花の形が実の形です!
by 丸黄うりほ
先週末、ヒョータニストさんたちから、畑や庭のあちこちで雌花が開花したとの報告を受けました。
ひょうたんには雄花と雌花があるということは、この日記でも何度か書いてきました。どちらも白い花で、夕暮れに咲いて翌朝にはしぼんでしまう一夜限りの花です。
雄花は品種にかかわらず、花びらの下の部分が漏斗型をしています。とても甘くて爽やかな香りを放ち、たいていの場合、雌花よりも花びらが大きくて目立ちます。夜の闇の中で、うっとりするような香りと大きな白い花びらで夜蛾を誘い、花粉をたっぷりつけてもらうのが狙いでしょう。また、数も圧倒的に雄花がたくさん咲きます。
雌花のほうは雄花よりも小ぶりで数も少ない。そして、花びらの下に子房と呼ばれるふくらみを持っています。雄花の花粉が雌花の花芯につくと受粉したことになり、うまくいけば子房の部分がふくらんで、それがひょうたんの実になるのです。つまり、雌花の子房の形は、ひょうたんの実の形そのものであるということ。この部分は品種によって違う形をしているのです! 雄花が品種にかかわらず漏斗型をしているのと対称的ですね。
それでは、ヒョータニストさんたちの花を見ていきましょう!
まずは写真①②。東大阪市のKFさんのイプ、パートンです。イプはハワイの打楽器の名前でもあり、この品種はその素材となるもの。花びらの根元にある、産毛で覆われた子房の形に注目してください!一般的なひょうたんよりも浅くてゆるやかなくびれ。うーん、なんという可愛い、良い形をしているのでしょう!今年は我が家でも同じ品種を栽培しているのですが、花はまだまだの感じ……。KFさんは親蔓の摘心を早めに行い、コンパクトに育てて成功ですね。たくましい葉と蔓、すっきりとした整枝はプランター栽培のお手本のよう。この調子で実がうまく結実してくれますように!
続いて写真③④。瓢箪山のフェイ・ターンさんの大ひょうたん(百成)です。フェイ・ターンさんの畑で初めて咲いたのは③の雌花でした。子房がひょうたん型をしていますよね!開花が見つかったのが翌日だったらしく、花びらはしぼみ、茶色くなりかかっています。その日の夜、1日遅れで咲いたのは雄花でした。しかし、今度は雌花が咲いていない。というわけで、どちらもお相手がなくお見合いは不成立……。と、思いきや。
じつは私はここでフェイ・ターンさんに丸黄メソッドを伝授しました。④をご覧ください!お相手のいない雄花を切り取り、ジップロックなどに入れて冷蔵庫に入れておくと3日はもつのです。その間に雌花が咲いたらチャンスです!これで何倍にも受粉の機会が増えます。この方法は園芸本やネットでも今のところ出回ってませんので、「私、特許とれるんちゃうかな」と思っているんですが。
次は写真⑤⑥にまいりましょう。こちらはいなべ市のふじっこさんの長ひょうたん、グルート(前回のグルートはこちら)です。がんがん咲いている雄花(⑤)。そして、⑥の真ん中に写っているキュウリのようなのは雌花です。受粉がすんで、ちょっとふくらみかけているようですね。長ひょうたんは2メートルほどにもなる大きな実をつける品種。この花のように地面に近い位置で着果すると、実を地面にはわせていくことになると思いますが、それはそれで面白い形のものができるかもしれません。
最後は写真⑦⑧。和泉市のヤマミーさん宅です。今月初めに花が咲いたことを報告したヤマミーさんの千成ひょうたんと百成ひょうたんは、ほとんどの苗に実がつき始めました。特に元気なのが、後から植えたうらら(⑦)。優美な形の実がもうこんなについています。命拾いをした苗が恩返しをしてくれているのでは、と思いたくなるほど健気(けなげ)です。
⑧のふくらみの一つしかないフラスコ型の実は、千成のセンナについたもの。こういう実を美しくないという人もいますが、私はこういう実ほど好きなんです。だって、こんなの作ろうと思って作れるものではないですから。
(539日目 ∞ 6月22日)