ひょうたんに花の季節がやってきました!
by 丸黄うりほ
昨日の日記で書いたように、ひょうたんの花(実)は、親蔓と子蔓の摘心後に出てくる孫蔓に形の良いものがたくさんつき、その実を大切に育てるのが一般的な整枝法です。しかし、親蔓や子蔓に花がまったくつかないというわけではありません。
三重県いなべ市のふじっこさん宅では、5月27日、長ひょうたん・グルートに初めての花が咲きました(写真1枚目)。ぽつんと1輪だけ咲いた花は雄花で、蔓は摘心もまだの親蔓でした。
大阪府和泉市のヤマミーさん宅では、5月31日、千成ひょうたん・センナに初めての花が咲きました。こちらは本葉7枚で親蔓の摘心をすませ、花がついたのは子蔓。花は雌花でした(写真2枚目、3枚目)。
2枚目の写真を見ていただくとよくわかりますが、雌花(右)は花の下にある子房と呼ばれるところが、すでにひょうたん型をしています!可愛いですよね♡ そして、漏斗型をしている左のつぼみは雄花なのです。
1日遅れて6月1日には雄花のほうが咲きました(4枚目の写真では雌花と雄花の位置が逆に写っています)。そして、その日の夕方のこと。雄花が開くようすをヤマミーさんがじっと観察していると……。
なんと!夜蛾がやってきました!その決定的瞬間をとらえた動画をぜひご覧ください!
このように、ひょうたんの花には雄花と雌花があり、どちらも夕方に咲いて翌日の朝にはしぼんでしまいます。雄花の花粉が雌花の花芯にくっつくと受粉したことになり、それがうまくいけばひょうたんの実になる。その受粉作業を自然状態で行ってくれるのが夜蛾なのです。
ひょうたんの花は、雄花も雌花も、とても爽やかで甘い高級なエッセンシャルオイルのような香りを放ちます。その香りと、闇の中でくっきりと浮かび上がる白い花びらに魅せられて蛾たちがやってくる。
ところが、蛾のいない環境だと人間が受粉作業をする。いわゆる人工授粉をする必要があります。私の住んでいる大阪市北区では、十数年のひょうたん栽培歴のなかで夜蛾を見かけたことは一度もなく、毎年人工授粉をしているのですが、同じ大阪でも和泉市にはちゃんといるのですね!
この蛾はおそらく、雄花のおいしい花粉をおなかいっぱい食べて、大満足して帰っていったことでしょう。でも、今回はひょうたんの側からみると残念でした。同じ日に雄花と雌花が咲けば受粉できたけど、雄花が咲いたのは1日遅れ。うーん、タイミングが悪かった。
そうなんです、ひょうたんランデブーは一夜限り。結構ハードルが高いのです。とはいえ本命は孫蔓の花ですから、ひょうたんの恋の季節はまだまだこれから。私たちはその夜を気長に待っていましょう!
(526日目∞ 6月3日)