ひょうたんの和名「ひさご」について

by 丸黄うりほ

▲日本料理・瓢(ひさご)

▲法事の会食で利用しました

▲鶴首ひょうたん。杓ひょうたんとも呼ばれます

▲煎茶の点前で使われるひしゃく(撮影:K・Fさん撮影)

▲ジョージアのワインひしゃく。塚口のワインバー「ナジャ」にて

 少し前のことなんですが、JR奈良駅近くのベルコで法事がありました。そのときに会食をした店名が「日本料理・瓢(ひさご)」だったのです。給仕の方に尋ねてみると、ベルコに入っている日本料理店はみんなこの名であるかのような説明でした。しかし、ネット検索してみるとJR奈良駅前のベルコしかヒットしない。なので、このお店についての詳細はよくわからないのですが、結婚式や葬式など冠婚葬祭専門の料理店に、縁起物であるひょうたんの名がついているのはとても似合うと思います。

写真1枚目は、割り箸の袋についていたロゴを撮影したもの。この「瓢」の字がとても良いですね。とくに「瓜」の部分に注目してください。棚からひょうたんがぶらりとぶら下がっているようではないですか?

この会食時に、「へえ。ひょうたんって、ひさごとも言うんだ」と言う人がいました。ひさごがひょうたんの和名であるということは、私などは「当然」と思っていたのですが、ひょうたんに興味のない人からするとめったに使わない言葉で、まあそんなもんなのかもしれません。

日本語としては、じつは、ひょうたんよりもひさごのほうが古くから使われている言葉です。720年に成立したといわれる『日本書紀』に、ひょうたんはひさごという言葉で始めて公式文書に登場します。

当時ひょうたんは水などの液体を汲むのに使われていて、ひさごは「ひさこ」、「ひさ」に同じ、それが「ひしゃく」に転じたといわれています。ひさごを漢字で書くなら瓢子または久児。柄杓(ひしゃく)というのはもともと当て字といわれ、ひしゃくを漢字で表すなら「斗」と書く。

「斗」は象形文字で、十の部分が手で持つところ、てんてんの部分が水を汲むところ。北斗七星がひしゃくの形をしているためにその名で呼ばれていることは有名ですよね。

さらに、「ひさ」は、「久しい」のひさでもあり、これには長い時間とか、手が届かないほど遠いところという意味があって、天、空、星に通じる。

そんなわけで、またまた出てきましたね、ひょうたん宇宙説。

ひょうたんについて古い物事を調べていると、どうしてもこのへんに行きついてしまうんですよね。水、宇宙、そして呪術。ああ、ひょうたんはどこまでも深く、果てしない。

(522日目∞ 5月28日 )

※次回523日目は奥田亮「でれろん暮らし」、5月31日(月)にアップ。

524日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、6月1日(火)にアップします。