「よしっ」のタイミング

by 奥田亮

今年の菜園計画図。ヒョウタンの場所も確保。

長瓢を前にじーっと眺め、スケッチしてまたじーっと眺め。主に糸巻きをどうするか、思案中。

長瓢を一気に縦割り。緊張します。

 

4月も第2週に入り暖かくなってはきましたが、逆に花冷えというのでしょうか、先週から最高気温10℃前後、最低気温が氷点下という日が続きます。おかげでもう少しの間、桜を楽しむことができそうです。

裏の畑もそろそろ準備です。今年は家庭菜園教室の先生Kさんに、どこにどう何を植えるか、菜園計画の段階から相談にのってもらっています。土も全面的に改良すべく、Kさんがコーディネートした堆肥をドカっと入れることになりました。これで例年よりは少しはいい感じになってくれることを期待しています。

もちろんヒョウタン栽培の場所も決めました。とはいえ、そんなにたくさんは植えないつもりです。イプとUFOと百成を一苗ずつぐらいかな。蔓もの、とくにキュウリは、混じると苦くなるらしく、あまり近くに植えない方がいいみたいです。

さて、楽器づくり。かねてより何か作ろうと考えていた長瓢をいよいよ物置から取り出してきました。3年ほど前にうちで採れたもので、全長120cm、皮もそこそこ厚くてしっかりしています。同じ苗からいくつか実がなりましたが、一つは途中で自重に堪え兼ねて落下して割れてしまい、ほかの実も途中で萎んでしまったように記憶しています。でも、一つこんなに立派な長瓢ができたので大成功といっていいでしょう。

この長瓢で作る楽器は、概ね決まっています。既存の弦楽器なのですが、もちろん本物は長瓢でできているわけではないので、形も大きさも違います。そこで考えないといけないのが、弦をどうやって張ってどこに固定し、どのように音を響かせるのか、というかなり根本的なところ。普通の楽器づくりに比べるとマイナスからの出発といいましょうか。弦は何本にするのか、その本数の弦の張力に耐える構造にできるのか、基本的な知識は全くないなか、ない知恵を絞って考えなければなりません。今までに作った楽器は参考にはなるのですが、一つひとつ状況もやりたいことも違うので、参考になるような、ならないような。毎回現物の長瓢を前に試行錯誤、というかじーっと眺めてスケッチしてみたり、またじーっと眺めてうーんと言って疲れて終わったりを繰り返します。ちなみに写真に写るスケッチは、ほぼすべて没案です。

でも不思議なもので、じーっと眺めていると何らかの解決方法を思いついたりします。それで、よしっ、とばかりに取りかかるのですが、一度切ったり削ったりしてしまうと取り返しがつかないので、この「よしっ」に至るのにとても時間がかかるのです。じーっと考えてその日は終わり、ということもしばしば。

そしてとうとう「よしっ」のタイミングがやってきまして、長瓢を部分的に切ることにしました。しかし不定形のものをまっすぐ切り取るのはけっこう難しく、どこにどう線を引いてもうまく繋がらなくて、最終的にはノコギリで縦に一気に切り落とすことに。まっすぐに切り落としているつもりでも結構歪んだり曲がったりして、思わぬ方向に切ってしまうこともよくあります。120cmの長瓢を縦に切るのは、写真のようにわりとアクロバティックな切り方になってしまいました。

なんとか当初の予定通りに切り取ることができまして、第一難関をなんとかクリアました。これからどうしていくか、これから何度かに分けてご紹介していきます。参考になるかどうかはわかりませんが、あーこんないい加減なやり方でもできるんだとご理解いただけたら楽器づくりのハードルが下がるんじゃないかと思います。

うまくいきますかどうか、期待せずにお読みください。でれろん!

(492日目∞ 4月12日)