冬眠からさめた?
by 奥田亮
ああ、春ですね。裏の畑では、虫喰いがひどくて放置していたチンゲン菜がおいしそうな菜花になり、雪の下で頑張っていたブロッコリもまた息を吹き返してどんどん出てきています。春野菜の定植までに、もうひと息土づくりに精をださねばなりません。
古本屋スワロー亭は、今年に入って定休日を一日増やし、火水木をお休みにしています。ですので、金曜日が週の初め。そんな金曜の開店まもない時間に、さっそくお客さまです。
はじめてお見かけするご夫婦とお子様の3人だったのですが、お父さんが親しげに私に話しかけてこられます。お話をお聞ききすると、私のひょうたんアルバム『とちうで、ちょっと』をオンラインストアでご購入くださった方で、なんと、はるばる東北から訪ねてきてくださったのでした。ありがたいことです。しかも、「えずこホール」(宮城県大河原町)で長年開催されていた野村誠さんのワークショップにずっと参加されていた方で、同行されていた、今春中学生になるという娘さんも、小さい頃からずっと参加されていたのだそうです。遠くで少しつながっていた方なのでした。
そしてその方は、じつはヒョウタニストでした。私のCDを聞いて全日本愛瓢会に入会までされたとのことで、千成ヒョウタンを育てて人にあげたり、なんだかいろいろされているそうです。ただ、やはり東北ともなるとなかなかヒョウタン栽培は難しいらしく、昨年はうまくいかなかったとか。近くにひょうたん話を聞いてもらえるお仲間もいないとのことで、私も久しぶりのひょうたん話でしばらく盛り上がりました。思わぬところでまた、瓢縁がつながっていたのでした。
お店を開いていると、当然のことながらアポなしで訪ねてきてくださる方が増えます。今回来てくださった方も、こちらが普通の家に住んでいたら、わざわざ連絡してアポとって時間を決めて…、となるわけで、そうなるとそこまですることでもないよね、となったりして、お会いできなかったかもしれません。このプロセスがないだけ、お互い敷居が低くなります。アサダワタルさんが提唱されている「住み開き」というか、家を少し開放して人の出入りがしやすくなる環境をつくることで人との出会いの機会は格段に増えるということを実感します。もちろん逆の危険性もあるのですが……。
そんな雑談をしていた時に、郵便受けにポトンと郵便物が投函された音がしました。大阪のフレイムハウスの美佐子さんから届いたUFOの種でした。去年こちらでヒョウタン(イプ)を栽培されヒョウタニストとしてデビューしたユカリさんに育ててもらうためにお願いしていたのです。ユカリさんからはイプの種をご提供いただき、美佐子さんやひょうたん日記の主、丸黄うりほさんにお渡しする予定です。こうやって種が循環するというのもなかなかいいのもです。
大阪や東京では、もう桜が散りはじめているところもあるようですが、こちらはようやく梅が咲きはじめたところ。近くのお寺にある早咲きの枝垂れ桜も、蕾が赤くなってきました。少し早いですが、そろそろ種を播いて苗づくりを始めようと思います。まだまだ朝晩の気温は低いので、ハウス的なもので栽培するのがいいけれど、どうしたものかと思っていましたが、衣装ケースがいいですよと家庭菜園の先生に教わりました。なるほど、今年はその線でやってみようと思います。
そして、啓蟄もすっかり過ぎて冬眠からさめたように、楽器づくりも始めましたよ。また次週から少しずつご紹介していこうと思います。お楽しみに。でれろん!
(482日目∞ 3月29日)