ひょうたんジルバ
by 奥田亮
お彼岸も中日を過ぎ、いよいよ春めいて来ましたね。畑仕事とか楽器作りとか、活動する気持ちはあっても、なかなか重たい腰が上がらなかったのですが、暖かくなって、ようやく自ずと体も動くようになってきました。
イプを浸けたままのポリバケツには雪解け水が溜まっていましたが、ホースで水を足して水漬けを再開。4つあったうちの1つは、冬に浸けていた段階でヒビが入っていて、これはダメかもと思っていましたが、引き上げようとすると案の定、バラバラに崩壊してしまいました。他の3つは問題なさそうなので、このままもうしばらく浸けておこうと思います。
来週ぐらいから苗づくりをしようと思います。ヒョウタンは、サクラが咲く頃に種播きということなので、このあたりだと4月の中旬以降ということになるのですが、それだと冬も早く来るので、生育期間が短くなって充分成長できなくなってしまいます。なので、本当なら先週ちょっと書いた「踏込み温床」を作って苗床を作るのがいいのですが、正直そこまでする気力がありません。
ところで、こういう日々の暮らしの手間やちょっとした仕事や作業などをすることを、このあたりの方言で「ずく」といい、「ずく出さにゃ」「ずくがなくってできねー」などといいますが、ようやく最近、この言葉のニュアンスが掴めて来ました。でも、まだまだ自分では使いこなせません。どういう語源なのかも気になりますが、よくわかりません。
閑話休題。ということで少しずつ、ヒョウタンを含めた栽培の準備も進めておりますが、今日はちょっと小ネタの紹介です。
半年ほど前、隣の高山村にある何でも屋さん的なお店「かめはら」で、店先に古いLPレコードが積んであったので物色していたら、お店の人に「あー、それもしよかったらもらっていって!」と言われたので、がばっと全部もらって来たことがありました。秋田民謡集とか、コンチネンタルタンゴ全集とか、けっこういいのもあったのですが、その中にあったのが『田端義夫ヒット全集=人生の歌声』。バタヤンです。ずっと聞かないまま放置していたのですが、先日、ちょっと聞いてみようかなと思ってアルバムを開いて見てみたら、なんと、ヘンテコな歌が入っているではありませんか。「ひょうたんジルバ」。「???」なんだこれは? さっそく聞いてみました。
浮いた浮いたで 鼻歌機嫌 〜略〜 浮いて流れて 浮いて流れて おいら後生楽 ひょうたん男よ〜
「ひょうたんジルバ」より(作詞:加藤省吾)
なんとものんきで無責任な歌詞。バタヤンのハイトーンな声が、またなんともいい加減な感じです。YouTubeにあったので、ご存知の方もおられるとは思いますが……。調べてみれば、1948年(昭和23)に発売されたというSP時代の古い曲。加藤省吾作詞、陸奥明作曲。うちのレコードのは、後の時代の録音のようです。
ひょうたんと言えば、壺中天とか桃源郷とか、ちょっと神秘的で深遠なイメージもありますが、この歌詞のように、軽くて浮いて流されてと、わりとどうしようもないイメージもありますね。おととい久しぶりに来てくださったお客さまが、連れてきた子どもに、「ほら、ひょうたんおじさんだよ〜」と紹介してくれましたが、さてこれ、どっちの意味なのかな〜。ははは、でれろん。
(477日目∞ 3月22日)