未来の金星探査でひょうたんが活躍!?
by 丸黄うりほ
2030年頃を計画してる金星探査。衛星と気球と着陸機をセットになっている(https://t.co/SdNcjuoswA)。
ヒョウタン型の気球はそんな構造なのか(20~60℃あたりの比較的常識的な気温で稼働)。これくらい大気濃ければ着陸機のほうはファンで降下できるかも的な話があるとか pic.twitter.com/6WAFFKDyCE— ゆきまさかずよし (@Kyukimasa) December 25, 2020
昨年の暮れ、我がヒョウタン総合研究所所員のふじっこさんから「いよいよ宇宙開発にもひょうたんですよ!」というノリのいいメールが来ました。そこに貼られたリンク先は、科学に詳しいライター氏の、ひょうたん型の気球を使った金星探査についてのツイートでした。
そのツイートにさらに貼られたリンク先が、「2020 Venus Flagship Mission Study」(PDF)だったんですが、222ページもある重いPDFで、全部英語で書かれているし、正体がよくわからないのでそのまま放置していました。
その後調べてみると、このPDFは米国月惑星研究所(Lunar and Planetary Institute)によるものだということがわかりました。米国月惑星研究所は、アメリカの惑星科学の最前線ともいえる研究機関です。どうやらひょうたん型の気球のこともデマや噂ではなさそう。そんなわけで、この日記でもそろそろ紹介することにしました。
ところで、金星といえば太陽に近い方から2番目の惑星。別名ヴィーナス。明けの明星、宵の明星とも呼ばれる美しい星です。太陽に近いということは当然暑く、地表の気温は約430℃。気圧も非常に高く、地表で92気圧もある。おまけに硫酸の雲まであるらしい。とても人類が近づけるような環境ではないですね。
ところが、金星には気球を飛ばすことができる大気があるらしいのです。こういった無人の気球はエアロボットと呼ばれ、宇宙探査の新しい方法として中心的な役割を担うことになると期待されているようです。
1985年にはエアロボットを使って、旧ソ連、アメリカ、フランスによる共同金星探査が行われたそうですが、大気の調査にとどまったらしい。金星の地表に落ちたエアロボットは2時間で溶けてしまったそうです。
次のミッションは金星の地表のサンプルを採取すること。高温や硫酸に耐えられるエアロボットの開発がその後も続けられました。
そこで、この銀色ひょうたん型エアロボットの登場となるわけなのです!
「2020 Venus Flagship Mission Study」のタイムラインによると、このひょうたん型エアロボットは、2034年11月9日に導入予定のようです。金星地表に到達するのが2035年5月。ミッションが予定通りに行われた場合、2038年6月に探査が終了することになっています。
(473日目∞ 3月16日)
米国月惑星研究所(Lunar and Planetary Institute)「2020 Venus Flagship Mission Study」PDFはこちらから