便乗しちゃえ

by 奥田亮

小布施町民の魂が帰る山、雁田山。手前はブドウ畑。

やっぱりカレーだねフェスに便乗してスワロー亭でも、「カレー本フェス」開催。 カレー本いろいろ集めました。

3月もはや1週間がたって、さすがにもう春でしょと思っていたのですが、この1週間はまだまだ最高気温が高くて5℃、最低気温はまだマイナスという日が続いています。でも、なんどか書きましたが、やはり冬の信州は格別で、冠雪した山の朝焼けや夕焼けを見ながらの散歩は気持ちがいいのであります。

写真は、小布施町(おぶせまち)の東に鎮座する雁田山(かりたやま)。小布施町の人が亡くなると魂が帰っていく山といわれています。いかにも日本画で描かれそうな穏やかな風情の山で、比較的簡単に登れるようなのですが、じつはいまだに一度も登っていません。足腰が丈夫なうちに一度、とは思いつつ、いつになることやら。

さて、今回はひょうたんでも音楽でもないカレーの話。コロナも比較的落ち着いてきた昨今ですが、上高井郡(須坂市、小布施町、高山村の3市町村)のいくつかの飲食店が集まって「やっぱりカレーだねフェス」が行われています。カレーライスに限らず、和洋を超えてカレーオムライス、カレーうどん、カレーソバ、カレー味のもつ煮、タンドリーチキンなど、加えてパン屋さんはカレーパン、はては薬局では薬膳カレーのスパイスセットなどなど、とにかくカレーづくしのイベントで、約2カ月の期間中に参加店をめぐって、専用のトートバッグに特製のお店の缶バッジを集めるというもの。これがけっこうな人気で、週末ともなれば、トートバッグに缶バッジをジャラジャラとつけた人たちが歩いているのをよく見かけます。

古本屋のスワロー亭には、当然お声がけもなかったのですが、そうだ、便乗しちゃえと「カレー本フェス」を開催。カレーレシピ本や、雑誌、うんちく本、インド関連の本、写真集、カレーパンマンの絵本などなど50アイテム以上集め、さらに賑やかしに、ホセカレーラスのCD、華麗なるギャツビーの映画パンフ、この際『アンナカレーニナ』も置いて、特設コーナーを設けました。もちろん特製缶バッジも用意して、カレーフェス本体を主催しているデザイナーさんにひと言ことわりの連絡をしましたら、関連するポスターやバナー、トートバッグなどを持ってきてくださり、本体企画と同じ扱いをしていただけることになりました。

これが案外コンプリートを狙う人にヒットしたようで、この時期にしてはたくさんのお客さまがご来店してくださいました。お店に入ってくるなり「バッジまだありますか?」と聞いてこられるお客さまもけっこうおられて、ちょっと多めに作った缶バッジも期間中になくなりそうな気配。1日に何店も廻ってお腹いっぱいになっておられる方も、本ならオッケーということもあるのでしょうか。

それにしてもどうして日本人はカレーが好きなんでしょう? 『日本人はカレーライスがなぜ好きなのか』(井上宏生 平凡社新書)、『カレーライスと日本人』(森枝卓士 講談社現代新書)なども仕入れてあるので、売れ残ったら読んでみようと思います。

ああ、カレー食べたい……。でれろん。

(467日目∞ 3月8日)

  • 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。