来世も「げじげじ」「じいじ」に

by 奥田亮

先週も書いたように思いますが、ビシッとしないとはいえ、もう春だと油断しておりました。ところがまたまた雪が積もって寒くなりました。ここのところ最高気温が0℃とか2℃とかが続いています。日中もあまり温度が上がりません。先日は町内を写真撮影する必要があって出かけたのですが、寒い上に風も強くてあまりにも寒いので途中でやめて帰ってきてしまいました。

先日行われた家庭菜園教室では、春の苗づくりにむけて踏み込み温床をつくる講習がありました。落ち葉や藁に米ぬかと籾がらを混ぜて発酵させ、発酵熱で苗床を温めて発芽を促進する方法です。発酵熱はすごいもので、35℃、場合によっては50℃ぐらいまで上がります。参加した人たちは、落ち葉に手を突っ込んでしばし温泉気分でほっこりしていました。温床は電気を使うのが今は一般的なようですが、発酵熱による温床は、微生物の働きで温度上昇以外にもポジティブな効果が期待できそうです。

さっそく家でもつくろうと勇んで帰ってきたのですが、あまりの寒さに心が折れてまだ取りかかれていません。もう少し暖かくなってから……。

さて、先週ご紹介した楽器「じいじ」と「げじげじ」の後日談です。

この楽器を作った翌年、そこから取り出した種で、またアメリカ瓢(ロングハンドルディッパー)を栽培したのです。順調に成長してぐんぐん蔓を伸ばし、植えていた地面の上の軒を越えて1階の屋根にまで伸びていきました。そして屋根の上で勝手に受粉して幾つか立派な実がなったのです。秋が過ぎて冬になる前、葉っぱが枯れはじめたので収穫したのですが、その中の二つを見て驚きました。一つは実が屋根に当たってボディが一部平らに(写真1)、もう一つは蔓に絡まってネックがぐにゃりと湾曲していました(写真2)。これはまさしく、前年に作った「げじげじ」と「じいじ」の相似形ではないですか! 前年に作った楽器を種が見ていて、ああ、来世もこんな風になればいいんですね、と先回りして形を整えてくれたのでしょうか。どちらも前よりも少し小ぶりなのですが、きっとそうに違いない。

写真1

写真2

これは早速また、それぞれに「げじげじ2号」「じいじ2号」を作ろうではありませんか。そう、作らないといけないですね、作りましょう、作りましょう、作りましょう。念仏のように唱えながら、はや数年が経過してしまいました。

あー、なんか同じことを繰り返すのがどうもイヤなんですね。何となく結果が見えてる気がするし。でも本当はやってみればまた違う発想も出てくるし、まったく別物になるんだとは思うのですが、どうしても重たい腰が上がらずに今日に至ったのでありました。 でも、せっかくこうやって思い出したんだから、こんどこそ作ってみようかな…。で…れ…ろ…ん………。

(462日目∞ 3月1日)