ひょうたんの柄杓で煎茶のお点前
by 丸黄うりほ
K・Fさんは、我が家で作ったひょうたん苗をたいてい毎年引き取ってくださっている、東大阪市在住のひょうたん仲間です。
少し前に煎茶のお稽古を始められたそうなのですが、先日その様子を写した写真をメールで送ってきてくださいました。
なんと、茶釜の上にのっているのは本物のひょうたんではありませんか!
上部が長く、涙型をしたふくらみがひとつだけのひょうたんで、鶴首ひょうたんとか、杓ひょうたんなどと呼ばれる品種です。我が家のベランダでも2014年に栽培し、確か27個の実がついたと記憶しています。
この種類のひょうたんは、ふくらみ部分をスパッと横に切るだけでスプーン(柄杓)のような形になるため、昔はマッコリや濁り酒を汲むのに使われ、お茶道具としても使われてきたということは私も知っていました。しかし、今でも現役で使われているとは……。感激です!
K・Fさんも、「今までお稽古していた茶道でもひょうたんの形をしたお道具はありましたが、そのものを使った物は見たことがありませんでした」とのこと。
では、そのお点前の様子をご覧くださいね。2枚目の写真、ひょうたんの内側には黒く漆が塗られています。見るからに高級品です。
びっくりするのは3枚目の写真です。茶釜からお湯をすくうのはスプーン状の部分でするのですが、注ぐのは柄のほうからしています!ひょうたんのヘタ部分にも穴を空けてあるのが写真でわかるでしょうか?
このお点前を見せてくださったのは上級者の方だそうですが、瓢杓の扱いを誤ると水浸しになるらしいです(笑)。うーん、まさに上級者向け、通人向けのお道具ってことですね。
K・Fさんは、茶道についてはベテランですがお煎茶は初心者。「始めたばかりのお煎茶であたふたしていますが、また違った趣があって奥深いです。いわゆる侘び寂びとはまた違うような……」とのこと。
また、「作法はかなりきっちりしているのですが、こういう遊び心もあるのだと知りました。文人が好んだものですから当たり前かな」とも。
ああ、風雅ですね。素晴らしきかな、ひょうたん文化。
(457日目∞ 2月19日)
※次回458日目は奥田亮「でれろん暮らし」、2月22日(月)にアップ。
459日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、2月24日(水)にアップします。(2月23日(火・祝)はお休みをいただきます)