ふじっこさんの新ひょうたん楽器(その3・その4)
by 丸黄うりほ
「自分で育てたひょうたんの実には、なかなか穴を開けたりして加工する気になれないんです」というふじっこさん。わかります、わかります、私もそう。思い入れがありますものね。というわけで、昨日紹介した新楽器2種はどちらもふじっこさんが養老の安田ひょうたん店で購入したひょうたんで作ったものでした。
きょう紹介する新楽器・その3「ひょうたんディジュリドゥ」(写真1枚目から4枚目)は、正真正銘、ふじっこさんが昨年畑で育てて収穫した長ひょうたん「おろち」の実で作ったものです。(「おろち」栽培の詳細はおろちのタグからプレイバックしてくださいね)
ガラス戸に立てかけられたディジュリドゥ3本のうち、中央の短いのが「ひょうたんディジュリドゥ」。本物のディジュリドゥは、シロアリに食われて中が空洞になったユーカリの木から作られます。長ひょうたんと形は似ているけれども、まったく異なる素材です。はたして、ひょうたんでディジュリドゥは作れるのでしょうか……?
「おろち」の実の先端部分は栽培途中で腐ってしまったため水漬けのときに先に切り落としていましたが、筒状にするために反対側もノコギリで切り落としました。しかし、そのままだと吹き口が密封されないし、口をつけると痛い。ということで、蜜蝋を溶かして吹き口につけることにしたそうです。蜜蝋は市販もされていますが、栃木で蜂蜜を作っている人からいただいた天然蜜蝋を使ったのだとか。自分で育てたひょうたん、そして天然の蜜蝋。ふじっこさんの思い入れが伝わってきます。
できあがった「ひょうたんディジュリドゥ」の音は……?動画を見せてもらうと、これがまさにひょうたんの音!ふらふらと不安定で、まぬけで、なんというか……そう、おならっぽい(笑)。ディジュリドゥの地底から響くような音とはだいぶ違います。
「このままだと硬度がないので、ニスを塗るとか今後検討します。吹き方も研究します」とふじっこさん。「でも、ひょうたん音にもこだわりたいので手を加えすぎないようにしたい」とも。私は今の音も大好きですが、さらに進化した音にも期待していますよ!そして、楽器になれてよかったね、「おろち」!
最後に、写真5枚目から7枚目を見てください。新楽器・その4「ひょうたん篳篥(ひちりき)」です。
6枚目の写真は篳篥のリードなんですが、ふじっこさんのお父さんが捨てようとしていたものをもらったのだとか。なんでも、地域の神社の雅楽保存会に強制的に(笑)入れられてらしたそうです。
ふじっこさんはひょうたんの上の穴にこの竹製のリードを取り付け、お尻に空気が抜ける穴をもうひとつ開けました。音階を出すために、ひょうたんそのものにもいくつか穴を開けるか、どうしようか、ただいま迷い中だそう。ちなみに使用ひょうたんはこれも安田ひょうたん店で買い求めたもの。
演奏動画を見せてもらいましたが、しっかりしたいい音が出ています。竹のリードが奏でる雅な音色を、ひょうたんの空洞が増幅装置となって広げている感じ。
そんなわけで、ふじっこさんの4種の新楽器はどれもなかなかうまくいき、とても楽しいものに仕上がっています。コンサートやライブで、みなさんにも聞いてもらいたいなぁ。
(455日目∞ 2月17日)