蔓を取っ手に

by 奥田亮

私たちがここ長野県小布施町に引っ越してきたのは、2012年の2月1日。ということで、ここに住んでまる9年が経ったことになります。9年前の2月1日は大雪で、まずは駐車場の雪掻きからこちらの暮らしが始まりました。これから毎冬こうなのかと考えると、ちょっとゾッとしたものでしたが、今は雪掻きにも慣れて、もうゾッとすることもありません。というより、毎年雪が減っていて、雪掻きの回数も減ってきているような気もします。今年も雪が多いと言われながら、1月に積もった雪もほとんどなくなり、ちょっと拍子抜けです。

9年前、2011年いっぱいで30年勤続していた会社を辞め、次の予定も一切考えず、よくもまあこれまで、平穏に暮らして来れたなあと思います。振り返ればあっというまでしたが、おかげさま、という言葉がリアルに響きます。よく言われることですが、退路を断ったときに新しい道が拓けるというのは、どうも本当のようです。もう一度か二度ぐらい、人生を棒に振ってもいいかもしれないと、なんだかぼんやり考えてたりもします。

さて、水漬けから出したUFO、なぜか幸い臭うことなく中身も抜けたので、家の中に入れてストーブで乾燥させています。いや、ホントに全然臭わないのです。以前に記しましたが、このUFOは、大阪のフレイムハウスで栽培された実を、たまたま旅行でこちらにお立ち寄りくださった美佐子さんがわざわざお届けくださったもの。きれいな蔓がついたままだったので、蔓を残して底に穴を開け、中身を出したのでした。水漬けが不十分だったので、残念ながら表皮が残ってしまいました。場合によっては春にもう一度水に浸けて表面をタワシで擦る必要があるかもしれません。

中身がすっかり抜けましたが、まだ少し種が残っていて、コロコロと音がします。実の大きさにしては案外大きな種で、底の穴から出すのに苦労しましたが、10個ほど出てきました。この大きさの種だと、きっと育てる環境を整えればもっと大きくなるのではないかと思います。春が楽しみです。

それで、このUFO、笛にすることにしました。蔓を取っ手にしてマイクのように持ち、口を穴につけて吹く笛です。原理的にはひょうたん笛と同じですが、この大きさで笛にしたことがなかったので、音が低くていい感じです。ひょうたん笛といえば千成ひょうたん、と何となく思っていたのですが、大きなひょうたん笛もなかなかいいですね。 もっと大きな笛も作って、大小合わせたひょうたん笛の合奏なんて、いいかもしれません。丸黄さん、ヒョウタン総研でいかがですか? でれろん。

(449日目∞ 2月8日)