奈良・瓢箪山古墳を探しに(前編)
by 丸黄うりほ
昨日と一昨日の日記に登場した東大阪市の瓢箪山稲荷神社は、もともとひょうたん型をした古墳の上に建てられた神社だといわれています。「瓢箪山」で地名検索をかけると、奈良市にも佐紀瓢箪山古墳というのがあることがわかりました。
平城宮跡の北方、鉄道の駅でいうと近鉄西大寺駅の北東、平城駅の東あたりには、佐紀盾列古墳群と呼ばれる古墳だらけの場所があります。私は奈良市の出身で、とくに西大寺界隈は母の実家があったところ。なので、土地カンはあるはずなのですが、そんなところに瓢箪山があったとはまったく知りませんでした。いくつかの古墳は大きく、有名なものもあるのですが、瓢箪山古墳は小さめで、知られていない古墳の一つなのです。
グーグルマップで確認してみると、近鉄平城駅から歩いて10分ほどでたどり着けると出てきました。それなら、一度行ってみようかな?と、軽い気持ちで出かけたのですが……。
これが意外な難所でした。平城駅から歩くとすぐに別の古墳の堀に突き当たります。道はくねっていて、しばらく行くとまた別の古墳が出てくる。そして民家、どんよりと濁った溜め池、竹やぶ、荒れ気味の田畑、三叉路に立つ裸の木、またも森なのか古墳なのかわからない茂み、お墓、井戸、かなりひどく崩れた廃屋、また古墳、不法投棄のゴミ、曲がりくねった道、また溜め池……という感じで、人通りはほとんどなく、風景はかなり不気味。
気がつくと、あれ、もう10分以上歩いてるけど?道に迷った?私どっちに向かってるのかな?人が本当にいなくて薄暗く、なんだか見える風景が田舎ホラー映画なんだけど……!
ようやく畑仕事をしている人に会えたので、「瓢箪山古墳はどっちですか?」と尋ねてみたのですが、「知らない」と言われてしまいました。
とにかく森のような林のようなものが視界に入る範囲にいっぱいありすぎて、どれも古墳に見える。というか、おそらくどれもが古墳なのです。なので、どれが瓢箪山なのか、見当をつけることすら難しい。私は方向音痴じゃなかったはずなのに。
雨がポツポツと降り出したので、比較的メジャーっぽい道まで引き返しました。そのとき、前方からやってくるウォーキングの二人組が見えたので、最後の頼みとばかり同じ質問をしてみたところ……。
お二人は近所の人だったらしく、さくっと行き方を教えてくださいました。道もそれほどそれていなかったことがわかり、私はその人たちに何度もお礼を言ってから示された一本道を3分ほど歩いて、ようやく目的地に着いたのです。
古墳の前には「史跡瓢箪山古墳」という石碑と、奈良県教育委員会による説明文がありました。しかし、森は暗く、周囲にはもちろん誰一人いません。
古墳に近づいてみると入口があり、歩いて登れるように道が続いていました。そういえば、グーグルマップのコメントか、何かのウェブサイトに、「この古墳は珍しく中に入れるようになっている」と書いてあったことを思い出し、私も一歩踏み出し、少しだけ登ってみたのですが……。登りかけると、古墳の周囲に巡らされた石の道が見えたので、はっと気がついて立ち止まり、「古墳の上に登るのはやっぱりあかんよな。やめておこう」と思い直し、降りて下の道を歩くことにしました。
佐紀瓢箪山古墳レポート後半は、明日に続きます。
(422日目∞ 12月24日)