「空也上人開山忌」とひょうたん(1)
by 丸黄うりほ
平安時代の僧・空也上人とひょうたんを巡る謎……。10月16日(375日目)のひょうたん日記をみなさんは覚えてくださっているでしょうか。
空也上人が始めた辻説法や口誦念仏が、やがて踊念仏や六斎念仏になっていったといわれていること。それらの念仏では鉦や太鼓のほかに、ひょうたんが打ち鳴らされる場合も多いこと。
毎年11月の第2日曜に、京都市中京区の紫雲山光勝寺極楽院(通称・空也堂)で「空也上人開山忌」が行われ、その法要の一つに空也僧による「歓喜踊躍念仏」があることもわかりました。もしかしたらひょうたんを叩きながら踊る姿が見られるかもしれない。
ちなみに11月の第2日曜は、今年は11月8日でした。というわけで、すでに法要から1カ月以上たってしまったのですが、きょうから3日間のひょうたん日記ではこの「空也上人開山忌法要」のレポートをお届けしようと思います。
さて。こちらのお寺はふだん観光客に門戸を開いておられず、一般人は法要の日しか中に入れていただけないということや、その日は毎年たいへん混み合うらしいという事前情報を得て、私は気合いを入れて、当日は法要開始2時間前の午前11時に到着しました。
ちょっと早すぎるかもしれないと思っていたのですが、門はすでに開いていました。さすがにまだそれほど人気はなく、無事に受付をしていただくことができました。ひとまずホッ。
受付がすむと、私はそこに並べられていた『空也上人と末流 総集編』という冊子と、「空也上人開山忌」の様子を描いた木版画の絵葉書と、豆ひょうたんのお守りを授与していただきました。隣に並んでいた人は茶筅も買い求めていました。中世から近世にかけての京都には、ひょうたんや鉢や鉦を叩きながら茶筅を売り歩く空也僧や、その流れをくむ鉢叩きと呼ばれる人々がたくさんいたといわれています。そしてこの空也堂は、空也僧たちの総本山なのです。
絵葉書には、ひょうたんを持つ空也僧の姿がありました。これからこの実物が見られるのか!と思うとワクワクします。ふと見ると、受付の方の作務衣にもひょうたんのバックプリントが。かっこいいひょうたん!やはりひょうたんは空也上人のシンボルなのではないか。
さっそく靴を脱いで、お堂に上がらせてもらいました。すると、またもや私のひょうたんアイが激しく反応しました!お堂中央の祭壇には、立派な金のひょうたんが鎮座しています。隅に立てかけられている屏風にもひょうたんが描かれています。その隣の部屋には大きな茶筅と、木魚と、房飾りのついた対のひょうたんが二組もおいてありました。もしかしたら、これが「歓喜踊躍念仏」で使われるひょうたんなのでしょうか?
高まる期待……!明日に続きます。
(416日目∞ 12月16日)