歳とともに根性がなくなる

 by 奥田亮

雪を乗せた今朝の白菜

物置に放置していた《瓢立琴 銘 剥き身》と《瓢立琴 銘 電柱》。カビはアルコールで拭きました。

ヒョウタン楽器は年代物の長持ちの中に保管(乱雑ですね)。

初雪が降りました。12月に入っていよいよ日中の最高気温が10度を切りはじめ、今朝は庭に放置したバケツに溜まった水に薄く氷が。何だか快晴で暖かい日が続いていましたが、いよいよ冬らしくなってきました。 “亜熱帯”関西出身ながら、信州で一番好きな季節は冬だったりします。寒さは厳しいですが、雪景色の美しさは格別です。寒いのが好き、というわけではないのですが……。

水漬け中のヒョウタンの様子を見てみると、多少水が白濁しているものの、表皮はそのまま、なんら変化の兆候はありません。そりゃそうです。冷たい水の中で冷蔵しているようなものですから。とりあえず取り出してみようと水に手を入れてみましたが、あまりに冷たくてすぐにやめました。この分だとそのまま春まで放置することになるかもしれません。歳とともに根性もなくなってきました。

さて、昨日は久しぶりにヒョウタン楽器に触りました。ぎゃっ! 物置に置いてあった《瓢立琴 銘 剥き身》と《瓢立琴 銘 電柱》にうっすらとカビが! 考えてみると、去年の暮れに丸黄うりほさんが企画してくださった京都でのライブ以来、ほとんど楽器に触っていなかったので、ほぼ1年放置していたわけで、ちょっとぐらい様子をみてあげたらいいのにね、と脳内独り言。これでは、音楽やってます、なんて言えないですよね。

久々に楽器に触れたのには理由があります。ありがたいことに演奏のオファーをいただいたのです。隣町須坂市にある満龍寺というお寺の年末イベントへの出演依頼です。

このお寺、曹洞宗の古刹ながら、御本尊の隣にDJブースがあり、天井からはミラーボールがぶら下がり、音響機材はいうまでもなく、スモークマシーンまで完備。最近また厨房を改装して飲食営業許可をとったとかで、地域のコミュニティとしてのお寺の新しいあり方を模索している未来型寺院とでもいいましょうか。キレッキレのDJでもある若き副住職とダンサーでもあるその弟さんの兄弟を中心に、いつも尖ったイベントを企画していて、今後の展開がとても楽しみです。

「まんま」と題された今回の催しは、日替わりでアーティストが出演する音楽やダンスのイベント。時節柄もあってオンライン配信が中心とのこと。遠方の方もご覧いただけますので、詳細が決まりましたらご案内させていただきます。

なが〜いインターバルを挟んで楽器の音を出す時の心持ちは、乾いた喉が冷たい水で潤うような、温泉に浸かっているような快感があって、脳内グルーブが絶好調。これは毎日楽器に触れていると経験できないのかもしれません。プロでなくてよかったっス。いやいや、そうではなくて、どんな状況でも新鮮な気持ちで音に接することができるのがプロということなんでしょうね。でれろんっ。

409日目∞12月7

奥田亮  1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。