姫路駅の「ひさご」は幕の内駅弁の元祖だった
by 丸黄うりほ
今週の「ひょうたん日記」では、姫路市にある「日本玩具博物館」の所蔵品として出会えたひょうたんについて報告してきました。
この取材時、「花形文化通信」の塚村編集長と私は、JRを利用して最寄の香呂駅まで行ったのですが……。
その途中、乗換駅の姫路駅構内で「おむすびでござる。ひさご」というお店を発見。「ひさご」とは言うまでもなくひょうたんの和語です。
「なぜ、ひさごなの?」と思った私は、そのお店の看板やらロゴやら商品ラインナップやらをよく見てみました。「姫路名物」と書かれ、姫路城とお殿様とお姫様のイラスト。ショーケースに並んだおむすびはどれもおいしそうでしたが、ひょうたんを思わせる要素はなく。別のお店で食事をすませてしまい、特におなかもすいてなかったので、看板の写真だけ撮ってそのままスルーしてしまいました。
ところが、自宅へもどってからネットで調べてみると、意外な事実が判明しました。
「おむすびでござる。ひさご」の母体は、姫路市のまねき食品という会社で、おもに西播磨一帯で駅弁や駅そば、仕出しなどの外食を手がけている企業。こちらのウェブサイトによると、「明治21年、現在のJR姫路駅近くで、茶店「ひさご」を開いていた竹田木八が、山陽電鉄の開通に当たり、翌年から弁当の販売を始めました。これが我国で初めて販売された幕ノ内駅弁です」と書かれています。
いろいろな本やネットでもう少し詳しく調べてみると、幕の内弁当そのものは江戸時代からあったものの、幕の内弁当を駅弁として売り出したのは、ウェブサイトにも書かれている通り姫路のまねき食品が最初だったということがはっきりしました。
いまでは当たり前になっている幕の内駅弁ですが、何にでも元祖というのはあるのですね。そして、「ひさご」は、その元祖がかつて開いていた茶店の屋号。企業の原点とでもいうべき大切な店名だったわけなんです。
その後の幕の内駅弁の発展を顧みると、やはりひょうたんは縁起がいいもの♡ そう断定しても良さそうですよね?
(408日目∞ 12月4日)
※次回409日目は奥田亮「でれろん暮らし」、12月7日(月)にアップ。
410日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、12月8日(火)にアップします。