日本玩具博物館のひょうたん(3)ポーランドのプレゼピオ
by 丸黄うりほ
▲ひょうたんはポーランドにもあった!
「日本玩具博物館」では、常設展示のほか季節の特別展も行われています。現在は「世界のクリスマス〜ドイツのクリスマス飾りを中心に〜」を開催中。その東ヨーロッパのコーナーでひょうたんを見つけることができました。
ひょうたんでできた、ポーランドのプレゼピオです。
まず驚いたのが、「ポーランドにひょうたんがあったのか!」ということでした。一昨日と昨日の日記で紹介したひょうたん玩具は、ラテンアメリカとアフリカのもの。ひょうたんは暖かいところが好きな植物ですから、当然ひょうたんを加工して作られる道具類もアジア、アフリカ、中南米に集中しています。英語にもひょうたんを意味する「Gourd」という単語があるのですが、はたしてイギリスでひょうたんが育つのか?と思っていました。ましてや東ヨーロッパのポーランドとなると寒そうな国というイメージしかなく。
本当に思い込みはいけませんね。あとで調べてみると、ポーランド語にもひょうたんを意味する言葉がちゃんとありました。「Gurda」というのだそうです。
プレゼピオというのは、イエス・キリストの降誕、その場所は馬小屋とも洞窟ともいわれていますが、そこでお生まれになった。その場面を再現したジオラマのことです。日本ではクリスマスの飾りというとクリスマスツリーをまず思い浮かべますが、イタリアなどカトリックの国はむしろプレゼピオのほうがメジャーらしい。ポーランドもカトリックの人が多く、とくに南部の古都・クラクフ市では「プレゼピオ祭」が有名で、旧市街広場にたくさんのプレゼピオが置かれ、大勢の人が見物に集まるそうです。
このひょうたんでできたプレゼピオでは、幼な子イエスと、イエスを見守るヨセフとマリアの姿がトウモロコシの皮で作られています。人形の足下に敷き詰められているのはコケなのだとか。
神聖な場面を表現する素材にひょうたんが使われているのは、ひょうたん者にとってもうれしいこと。イエス、ヨセフ、マリアの表情もほのぼのとしていて可愛らしく、いいものを見せてもらえたなと思いました。
「世界のクリスマス〜ドイツのクリスマス飾りを中心に〜」は、2021年1月17日まで。他にも珍しいクリスマス飾りがいっぱい並べられています。ぜひ足を運んでみてください。
(407日目∞ 12月3日)