日本玩具博物館のひょうたん(2)音の鳴るもの

by 丸黄うりほ

▲ブラジル・ボロロ族のマラカス

▲パラグアイのがらがら

▲ケニアのがらがら

▲ペルー・シピボ族の鳴りごま

 

「日本玩具博物館」では、ひょうたんで作られた楽器や音の鳴るおもちゃもたくさん所蔵されているそうですが、その大部分は倉庫の中。今回はちょうどタイミングよく展示室に出ていたものを見せていただくことができました。

写真1枚目はラテン音楽によく登場するマラカスです。これはブラジルの先住民族であるボロロ族のもの。解説には「木の実のマラカス」と書いてありますが、ひょうたん製だそうです。ひょうたんは中が空洞で、内側はクッションのようにやわらかくてシワが刻まれているために表面積が大きく、音がよく響く。だから、いろいろな楽器のルーツにひょうたんがあるのです。

2枚目の写真はパラグアイのがらがらです。マラカスとよく似た形をしていますが、マラカスは2本で1組、がらがらは1本で鳴らす。そして、マラカスは楽器、がらがらは音のなるおもちゃに分類されるもの。赤ちゃんや子どもが遊ぶだけでなく、音を鳴らして悪霊退散という目的でも使われたようです。そういえば、がらがらは日本にもあるし、ヨーロッパにもある。これも学芸員の尾崎さんがインタビューの中でおっしゃっていた「世界中によく似たものがある」、また「民衆の祈り」アイテムの一つではないかと思います。

3枚目の写真もがらがらだそうですが、アフリカ・ケニアのもの。ひょうたんのまわりにビーズや貝殻を付けてあり、振ると音が鳴る仕組み。なかに物を入れて振って鳴らすパターンと外側に付けて鳴らすパターンと、がらがらにはどちらもあるのですね。この形のものが西アフリカで楽器として使われる場合、シェケレと呼ばれることもあります。

4枚目の写真は、ペルーのアマゾン先住民・シピボ族の鳴りゴマです。くるくる回るコマの面白さに加えて、音まで鳴る!しかもひょうたんでできている!いやー、これはコマが大好きな「花形文化通信」の塚村編集長と、ひょうたん狂いの丸黄の「趣味」が結集したような品物ではないですか。

ひょうたんと棒があれば作れそうにも見えるけど、きっと無理だろうなとすぐに思い直しました。構造が単純そうに見えるものって、実際に作ってみると難しい。いろいろな要素が微妙なバランスで成り立っているから、計算通りにはいかないことが多い。

しかし、この鳴りゴマ、ものとしての存在感がありますよね。かっこいいひょうたんだなぁと心から思います。

(406日目∞ 12月2日)