ひょうたんが主人公の絵本をいただきました

by 丸黄うりほ

▲殿内真帆『ひょうたん ころころ』(福音館書店「こどものとも0.1.2.」)

 

SNSではつながっているけど、リアルでは長いこと会っていないお友達のR子さんから、レターパックが送られてきました。開けると2冊の絵本が入っています。どちらも福音館書店の雑誌で、1冊は「たくさんのふしぎ」の12月号。もう1冊は「こどものとも0.1.2.」の12月号です。添えられた便箋には、私のことを思い出して送ってくださった旨が書かれていました。うれしいことに、その便箋の柄もひょうたん。

「たくさんのふしぎ」は、春日若宮おん祭がテーマ。じつは私の実家は春日大社の近くなのです。そして、「こどものとも0.1.2.」のほうは、この絵本『ひょうたん ころころ』だったのでした。R子さん、私がひょうたん好きだということをずっと覚えてくださっていて、どうもありがとう!

その『ひょうたん ころころ』はどんな絵本なのかというと……。

主人公は表紙に描かれているひょうたんです。びっくりしたような顔をしているけど、たぶんそれは突然蔓が切れちゃったからでしょう。表紙の絵をよーく見てください。「あっ!!蔓が切れてる!」と気づくはず。

ページをめくると、そのひょうたんがころころところがっていきます……。いろんなものがひょうたんにくっついて、そして……。

0歳児からの絵本ということで、お話というよりも、ころころと転がるひょうたんの動きを楽しむ本だと思います。「ころ(葫蘆)」というのはひょうたんの別名でもあり、「ころころ」とか「ころがる」という言葉の語源ももしかしたらひょうたんからきているのかもと私は思っているのですが、まさにこの絵本はひょうたんの丸くて、不安定にころころ転がるおもしろさを描いています。

作者である殿内真帆さんの言葉も、挟み込まれた小冊子「絵本のたのしみ」に書かれていました。それによると、殿内さんもひょうたんが大好きで、栽培経験もおありのようす。なんでも、子どもの頃から西條八十の「ひょうたんとかえる」という詩が好きだったのだそうです。この詩に絵をつけた本もこれまでに出版されているらしい。ひょうたん好きは子どもでも大人でも年齢に関係なく、人類には一定量いるんですよねぇ。

この絵本を読んだ子どもたちが「ひょうたんって何?」と大人に聞いたとしたら、大人たちはどう答えるのかな。本物のひょうたんを子どもたちが初めて見たときには、「あの絵本の!」と思うのかな。そして、この絵本が小さい子の潜在意識に溶け込んで、なんとなくひょうたん好きな子どもが増えたらいいなぁ。……などと、私の空想はそっちの方向に限りなくふくらんでいくのでした。

(399日目∞ 11月20日)

※次回400日目は丸黄うりほ「ひょうたん日記」、11月24日(火)にアップします。11月23日(月・祝)の奥田亮「でれろん暮らし」はお休みです。