ひょうたんな街・長浜(17/17)ひょうたんからお酒!

by 丸黄うりほ

▲460年もの歴史をもつ冨田酒造の「七本槍」

▲日本一新しい酒蔵・佐藤酒造の「六瓢箪」

▲山路酒造「桑酒」ひょうたんボトルと「六瓢箪」ミニボトル

 

いよいよ「ひょうたんな街・長浜」レポートも今回で最後です。締めくくりには、長浜が誇る地酒たちに登場してもらいましょう!

この日記の383日目(10月28日)にレポートした長浜八幡宮の境内で樽を見つけた「七本鎗」と「六瓢箪」は、黒壁スクエアのお土産店や酒店などでもたくさんの種類を見つけることができました。

「七本鎗」の銘柄は、豊臣(羽柴)秀吉と柴田勝家の賤ヶ岳の戦いで秀吉を勝利に導き、名を挙げた武将7名を讃える「賤ヶ岳の七本鎗」からつけられたらしい。ラベルには秀吉の馬印である千成ひょうたんが使われています。ということからもわかるように、勝利を讃える縁起のいいお酒だといわれています。「七本鎗」を造っている冨田酒造は、賤ヶ岳山麓の北国街道沿いで室町時代から460年も続く歴史ある酒蔵。江戸時代から同じ蔵、地元の米にこだわって酒造りをされているのだとか。

もうひとつのひょうたん地酒「六瓢箪」は対照的に日本で一番新しい酒蔵である佐藤酒造のお酒です。なんと創業は2011年。メイン銘柄は「湖濱」で、「六瓢箪」はおそらく数年前まで開催されていた「ながはま六瓢箪めぐり」とのコラボレーションで生まれたお酒ではないかと思います。

室町時代から続く酒蔵があるいっぽうで、21世紀にできた酒蔵もあるというところに長浜という街の歴史と活気を感じることができますね。その両方がひょうたんをラベルに使っているところがまたうれしい!

さて。3枚目の写真は、北国街道沿いにある「橋川酒食品」で私が買い求めたお酒です。右は「六瓢箪」のミニボトル。お土産として配るのにちょうどいいサイズです。

左に写っているひょうたん型のボトルは山路酒造の「桑酒」です。このお酒が、なんといっても今回の長浜ひょうたん土産のハイライトでしょう。

既製品のビンにひょうたんラベルを貼ったものではなく(それでもうれしいですが)、わざわざひょうたん型にデザインされたボトル。もうそれだけで私は食いつきました。そして、「桑酒」って何だろう?と思ったのです。こんなお酒があるなんて、まったく知りませんでした。

お店でいただいた資料によると、「桑酒」は湖北の名産品。湖北は浜ちりめんの産地でもあり古くから蚕が育てられ、そのため桑畑がたくさんあったそうです。約480年前、山路酒造のご先祖の夢に現れたお告げによって、この桑と湖北の米を使って酒を作ったところ、甘く香しい酒ができて喜ばれた。そんな言い伝えに始まって、江戸時代は京へ上る旅人を癒し、明治以降は文豪の島崎藤村に愛されるなどして造り続けられてきたようです。

製法は伝統みりんに依っているといい、アルコール度数は14度、分類としてはリキュール。オンザロック、炭酸割り、なかでもミントとレモンを入れてモヒートにすると絶品とのこと。

私もさっそくレモンと炭酸でいただいてみましたが……!これが、もう!!

いやー、びっくりするほどおいしかった。甘くて飲みやすく、ハーブのようなすっきりとした香りがついていて。これが桑の香りなのでしょう。バニラアイスクリームなどにかけるとおしゃれなスイーツにもなりそうです。「このお酒にハマるなんて、藤村は食のセンスがめちゃくちゃいい!」と藤村の株が私の中で急上昇しました。

これほどのおいしいお酒があり、風情ある街並みにひょうたんマークがあふれる長浜。本当に素晴らしいところでした。この長浜レポートは今回(17回)で終わりますが、来春の曳山祭りの頃に再び行けたらいいなと思います。

(398日目∞ 11月19日)