ひょうたんな街・長浜(12)長浜の川と温泉について
by 丸黄うりほ
長浜の商店街を歩いていると気がつくのが、それほど大きくはない川がくねくねと流れていることです。地図で確認すると、琵琶湖に注ぐ米川だとわかりました。この川があるために街に陰影が生まれ、しっとりとした情緒がかもしだされているのだなと思います。
米川にかかる橋にもひょうたんを見つけることができました。1枚目の写真は、長浜八幡宮に近い宮町橋です。紐のかかった大小二つのひょうたんが寄り添っているデザイン。親子のようにも恋人同士にも見える。
2枚目の写真もそこからほど近い、大手橋のひょうたんです。すぐそばに先日紹介した曳山博物館があり、その外壁のひょうたんとよく似たデザイン。同じデザイナーによって同じ時期に作られたものなのかもしれません。
大手橋のひょうたんを通り過ぎてすぐの場所にある、「文泉堂」という書店兼カフェのショーウインドウにあったのが、3枚目の写真の行灯です。そのとなりには立派な長ひょうたんも並べられているのですが、私のひょうたんアイはほぼこの行灯だけを注視していたのだと後で写真整理をしていて感じました。
この行灯は和紙で作られているように見えました。そこに渦巻きのような形に貼り付けられた千成ひょうたん。泡のようにも見える丸い輪も、輪切りにした大小のひょうたんで作られています。こんなふうにひょうたん素材を使うとは、センスのいい作品ですよね。和モダンな雰囲気で、これならいろんなインテリアになじむだろうなと思います。
4枚目の写真もその近くにある料亭の前に出ていたひょうたん型のちょうちんです。店名などを書き入れず、さりげなく吊るしてあるところがなかなか粋。
街の中を穏やかに流れる川があり、琵琶湖が近いということ。これだけでも水にめぐまれた豊かな土地だということがわかるのですが、じつは長浜の水の恵みはそれだけでないのです。
JR長浜駅の西側、琵琶湖畔の豊公園内に建つ、「国民宿舎豊公荘」。ここには含鉄泉の温泉と、その湯に浸かれるひょうたん型をした湯船があるのですよ!
豊臣(羽柴)秀吉が長浜に移り住んですぐ子どもができたことから、子宝の湯ともいわれているそうです。含鉄泉ですからお湯の色は赤茶色。そういえば、秀吉が愛したといわれる兵庫県の有馬温泉も鉄泉ですね。
私は今回この温泉にも入る気まんまんだったんですが、調べてみると、なんとコロナ禍のために臨時休館中ということでした。再開の見通しは未だ立っていないようです。うーん、残念……!
(392日目∞ 11月11日)