サムいクサいオモい

by 奥田亮

「そろそろ霜が来るぞ」「来週霜になるみたいですよ」。10月も後半になると、あちこちで聞こえてくるフレーズです。夏野菜は、霜が降りたらもう食べられなくなるので、小さくても早めに収穫して冷蔵庫などに保管してくださいと、家庭菜園教室でもアナウンスがありました。

ということでナス、ピーマン、ツルムラサキ、トマトを収穫して株を引き抜きました。トマトは青いままでしたが、ピクルスにするといいらしいので、近々作ってみるつもりです。

霜は冬の到来の合図。寒くなってきました。水漬け中のイプは、順調に腐敗しているようで、水は再び白濁し、強烈な臭いを放っています。そろそろもう一度取り出して表面を洗い、中身を振り出さないといけないのですが、サムいクサいオモいので、明日にしよう明日にしようと毎朝繰り延ばし、いまだ先週と同じ状態です。追加でいただいた4つのイプもそのまま放置状態。表面のカビが少しずつ増えていっています。このままにすべきか、やっぱり漬けるべきか……。

今回のイプの水漬けのために、2年ぶりに物置から出してきたヒョウタンの水漬け用の特製容器。この連載で何度か写真をご披露しましたが、もう少し詳しくご紹介しようと思います。

作ったのは3年前、長瓢、アメリカ瓢といった長い品種のヒョウタンを栽培した時でした。当初は、ゴミ用の大きなポリバケツの下に水道の蛇口を取り付けただけのものを想定していたのですが、できたヒョウタンが思いの外大きく、全然高さが足りないことが判明。急遽もう一つ、同じぐらいの口径のポリ容器を買ってきて上に付け足し、長瓢がすっぽり水に浸かるようにしたわけです。付け足したポリ容器は、底を全部切りとらず少し小さめの穴にして、小ぶりのヒョウタンが引っかかって水から出てこないようにしました。詳しくは下図を参照してください。

確かに長瓢などの大型品種の水漬けに、この容器は重宝するにはするのですが、大き過ぎて底まで手が届かず、入れる水の量もハンパなく、一度水を入れると重くて動かせず、春先に使い終わった容器を洗うのも大変で、置き場所にも困る、と難儀なこともたくさんあります。といって、この素材でこの大きさなので処分するのも大変そうです。さあ、どうしたもんでしょう……。 来年は何か別の方法を考えておいた方がいいかもしれないなあ。え、ということはつまり、やっぱり来年は栽培するのかな、いや、どうなのかな。いやいや、でれろん…。

(386日目∞11月2日)

奥田亮 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。