遊びに行きたい!ひょうたんハウス
by 丸黄うりほ
先日、『花形文化通信』の塚村編集長と雑談していたときのこと。いろんな話をしているうち、イラストレーターの土橋とし子さんの話題になり、私が「土橋さんの絵大好きやわー!! 」と言うと、「そうやね、ひょうたんも描いてはるし」と塚村さんがさらっと一言。「え、それ。何のことですか?」と私。「えっ、知らんの?ひょうたんやのに」と塚村さん。
と、言いながら事務所の本棚から出してきてくださったのが、きょうご紹介する絵本『ひょうたんハウス』なのです。
『ひょうたんハウス』は福音館書店の「こどものとも年少版」の1冊として2004年に発行されていました。単行本にはなっていなくて、現在は入手困難であるようです。とはいえ、ひょうたん好きであり、かつ土橋ファンである私としては大変な不覚でありました。「こんな絵本があったとはー!!」
お話はこんな感じです。青い体とキラキラした瞳をもつ「アオッチ」のところに、「ひょうたんハウス」に住む「ひょうた」から遊びにおいでという招待状が届きます。「アオッチ」はひょうたん型の招待状をぶら下げて出かけていきます。「ひょうたんハウス」は外観だけでなくお家のなかの照明もひょうたん。出迎えてくれる「ひょうた」はひょうたん型の頭をもち、ひょうたんマークがついた服を着ています。楽しいブランコ遊びをした後、「ひょうた」がごちそうしてくれるのは、ひょうたん型をしたおいしそうなおやつ「ひょうたんやき」。
絵本といっても、「アオッチ」、「ひょうた」、そして家の中にいるカピバラのような動物は土橋さん製作のぬいぐるみ。ひょうたん型のおやつ「ひょうたんやき」は粘土で作られ、「ひょうたんハウス」は本物のひょうたんが使われています。写真とイラストが組み合わされた『ひょうたんハウス』の世界。一言で感想を言うなら、「うらやましい!! めちゃくちゃ楽しそう!! この家に私も遊びに行きたい!!」
表紙にもなっている「ひょうたんハウス」のひょうたんは、奈良県の飛鳥で土橋さんが買ったものだと、絵本に挟み込まれた冊子に解説がありました。うーむ、完璧に近い美形プロポーションのひょうたんですね。
表2と表3(表紙の裏側)には、ひょうたん型をしたいろんな顔のイラストが並んでいて、これがまためちゃくちゃ素敵なんです。この人たちは「ひょうた」の親戚か、ご先祖様なのかな?解説は何もありませんが、それだけに妄想がふくらみます。
こんな素敵な絵本が入手困難だなんてもったいない。版元の福音館書店さん、ぜひ単行本化、もしくは復刊をお願いします!!
(358日目∞ 9月23日)