クラシックコンサートでギロに再会

by 丸黄うりほ 

▲このフランスパンのようなのがギロ。ひょうたん楽器です。

 

先週末、京都市交響楽団の第647回定期演奏会を聴きに、久しぶりに京都コンサートホールに行きました。会場入り口にセンサータイプの体温計を設置、順路はすべて一方通行、パンフレットやチケットも手渡しなし、座席は2席ずつ空席という徹底ぶり。ソーシャルディスタンスを保つために考え抜かれた措置。これだけの配慮をするのはスタッフの方々も大変だったろうなと思います。

ステージ上が密にならないようプログラムも工夫されていました。使われている楽器の数が少ない珍しい編成の曲、シチェドリン「カルメン組曲」と、ストラヴィンスキー「バレエ組曲・プルチネルラ」です。

ところで、昨秋このコンサートホールで聴いたストラヴィンスキーの「春の祭典」で、ひょうたん楽器が使われていた!という話を156日目(11月20日)に書いたのですが、みなさんは覚えてくださっているでしょうか。

そのひょうたん楽器とは、ギロです。細長い形をしたひょうたんの皮に刻みを入れてあり、棒などでこすって音を鳴らします。ラテン音楽ではよく使われる楽器ですが、クラシックで使われるのは珍しいのです。

これもまた偶然なんですが、昨秋のその演奏会に知人のヴァイオリニストが参加されていた。それで私が「ひょうたん楽器!」と大騒ぎし、「ひょうたん日記」にも書いたりしたせいか、後日、演奏家仲間にSNSでわざわざ「ギロが使われているクラシックの曲、他に知りませんかー?」と、問いかけてくださったのです。ですが、回答は得られませんでした。私は、そのくらい珍しいものを聴けたということで、実にラッキーだったのです。

そして。今回の演目にもストラヴィンスキーの曲が入っていたので、もしかしたら……と淡く期待はしていたのですが、ストラヴィンスキーのほうは打楽器なし。

ギロが使われていたのはシチェドリンの「カルメン組曲」のほうでした。

シチェドリン「カルメン組曲」は、ビゼーの歌劇「カルメン」を弦楽器と打楽器のために編曲した作品で、管楽器が一切使われていない。そのかわり、打楽器の種類は豊富で、打楽器奏者はそれぞれ数種類の楽器を演奏します。ギロはなんと3本も使われていました!前回1本見ただけでも「うわああ!」だったのに、今回は3本ものギロと出会えたのです。もう、感涙。

この曲、ギロ以外にも珍しい楽器がたくさん使われていて、テンプルブロック、カバサ、クラベス、カウベル、ウッドブロック、それに鞭なんてのもリストにありました。鞭は楽器だったのか?と一瞬考えてしまいましたが、どうやら鞭のヒュンッ!っていう音を出す木製の楽器らしい。珍楽器が大好物の私にとってはたまらん作品でした。

(321日目∞ 7月29日)