栗でいえば渋皮の部分

by 奥田亮

「じゃずり」で使ったひょうたん楽器。左から《たこ》《べんべん》《イカレレ》《ひょうたんラッパ》

 

前回お知らせしましたように、 6月27日(土)、拙作CDの1曲がラジオから流れました。ギターデュオ ゴンチチのお2人が進行するNHK-FMの人気番組「世界の快適音楽セレクション」。この番組は、毎回テーマに沿って曲が選ばれるのですが、この日のテーマは「からっぽの音楽」。からっぽ=ヒョウタンということで、チチ松村さんが私のアルバムを取り上げてくださったのです。

かけてくださったのは「じゃずり」という曲。へろへろのひょうたん楽器でジャズな感じをやってみた、というアルバムの中ではちょっと異色な曲でした。真鍮の細い管をグイっと丸く曲げ、先っぽにヒョウタンを付けただけの、マウスピースもないラッパ《ひょうたんラッパ》を無理矢理吹くと、一瞬マイルス・デイビスみたいな音が出たところから発想した曲です。使った楽器は写真の4点とピアノ。でれ〜とゆるい感じの音楽です。

驚いたのはゴンザレス三上さんが音楽を評して、「栗でいえば渋皮の部分みたいなシブい感じ」と仰られたこと。私が住んでいる長野県小布施町は栗の産地で、栗菓子を求めて観光客でにぎわうところなのです。偶然の符合だと思いますが、びっくりしました。甘いもの好きの三上さんには、ぜひ小布施の栗菓子を味わっていただきたいです。

さらに驚いたのはそのあとでした。私の曲が放送された直後、ホームページのオンラインストアに注文が! えっ? と思っていたら、立て続けに注文メールが続々。しかも九州から北海道まで全国津々浦々から。ひゃ〜、マスメディアの力ってすごい! これがネット社会というものかと、うれしいけれどちょっと怖くなり、心の中でなぜか小さく「助けて」と叫びました。みなさん、情報収集に熱心なんですね。そして気になったらすぐにポチっと購入。いや〜すごい。とってもうれしくてありがたいのですけれど、びっくりでした、ホントに。

ひょうたんで楽器を作って演奏する、さらに人を集めて「栽培から始めるオーケストラ」を結成、などというめずらしい活動をしていると、当初は新聞やテレビ、ラジオなどで取り上げられたりしたことが何度かあったのですが、いずれも「色物」というか、「めずらしい活動」に焦点をあててくださったものがほとんどでした。なので音楽番組の中で、ちゃんと音楽として取り上げてくださったのは今回が初めてでした。

ちょっと口幅ったいもの言いになってしまいますが、「めずらしい活動」をするために、ひょうたんで楽器を作って演奏しているのではなく、私なりの音楽の追求の果てに、このような表現方法になったといいますか、何というかまあそんなことだと思っているので、今回まがりなりにも音楽として紹介していただいたことは、素直にうれしいことでありました。ラジオを聴いてCDをお買い求めくださった皆さまには、そういう意味でもとても感謝しています。

ありがとう! でれろ〜ん! でれろ〜ん!(喜びの雄叫び)

(301日目∞ 6月29日)