「ウェス実8号」の不思議な模様
by 丸黄うりほ
▲乾燥が終わってみると……表面に模様が?
去年の4月、タネをまいたひょうたんに、ウェスパシアヌスと名付けて栽培。順に花が咲いて、合計8個の実がなりました。ひょうたんの花は普通6月から8月くらいに咲くのですが、「ウェス実8号」は、なんとまあ遅い、10月に入って花が咲き受粉に成功、最後に実った末成です。年末に収穫して水浸けし、ようやく乾燥に入ったことを報告したのが、この日記の207日目(2月7日)のことでした。
「ウェス実8号」は、成った時期も普通ではありませんでしたが、表面の色が濃い緑色に白い模様が入っているなど(他の実は薄い緑色で模様なし)、とても変わっていました。同じ苗から成ったとは思えない色をしていましたが、周囲に他の苗もないので交雑したとも考えられません。
さらに、水浸けから引き上げたときには、血液のように赤い色をした繊維が中から出てきてぎょっとさせられました。あれはなんだったのか?
その後、207日目の日記を読んでくださった方から、「湿った状態で赤くなるなら、セラチア菌かロドトルラ酵母菌が増殖したのかな?」というコメントをいただきました。調べてみると、どちらの菌もお風呂などの水回りでたまに発生する赤カビを指しているようです。菌ときくと怖くなりますが、どちらも人体への影響は少ない(病院感染などは要注意)ようで、少しほっとしました。
水から引き上げたとき、「ウェス実8号」の表面がうっすら茶色くなったように感じたのですが、完全に乾燥させると、表面に写真のような模様が浮かび上がってきました。
渦巻き模様のような、唐草模様のような。なんとなくスピリチュアルみのある不思議な模様です。水浸けのあとで、こんな模様が表面に浮かび上がってきたひょうたんは、私の10年ちょっとの栽培歴の中でももちろん初めてです。
おそらく、例の赤カビがこのような模様を自然の力で作り出したのでしょう。表面の質感は凸凹がなくつるつるしていて、とても軽く、手にもつと心地よくフィットする形と大きさです。
異例づくしの「ウェス実8号」、これは楽器にしてやりたいなぁ。いろんな偶然が重なって、本当に素敵なひょうたんに仕上がりました。
※次回226日目は3月9日(月)にアップします。