ひょうたんの聖地・養老(8)ひょうたん会館の珍古瓢
by 丸黄うりほ
昨日に続いて養老の「ひょうたん会館」からお届けします。
1階のお土産屋さんを出て2階への階段を上っていくと、途中に1枚の絵が置いてありました。養老の滝で水を汲む、おなじみ源丞内です。伝説だけあってみんな思い思いにこの人物の姿を描いているわけですが、ここの源丞内は大衆演劇の看板にいそうな男前です。父親のために大喜びで水(酒)を汲むシーンのはずなのに、憂いをふくんだ表情。あまりうれしそうに見えないのが少し気になりますね。
2階に上がると、現れたのはひょうたんを連ねた暖簾です。その奥には学校の理科室や古い病院を彷彿とさせる、ちょっと怖い雰囲気の古びたガラスケースが並んでいました。
ガラスケースの中をのぞくと、人体模型……ではなくて、年代物のひょうたんがたくさん並んでいました。なかには「安土桃山時代の作品です」と説明されているものもありましたが、それにしては大らかというか、かなり無防備な感じの展示です。
標準的なひょうたん型のひょうたん以外に、変わった感じに曲がった鶴首ひょうたんや、ちょっといびつなひょうたん、イボのあるひょうたん、カビ模様のあるひょうたんなどもガラスケースに入っていました。いろんな形のものを分類せずに、ざっと無造作に詰め込んであります。
その上に「珍瓢の集い」という板が掲げられていました。このぐるんぐるんした書体がまた素敵。
ガラスケースは2階の東西の端にあって、この中にはひょうたんと同じくらい古そうな、色あせた写真や新聞記事の切り抜きも多数投げ込まれていました。紙と紙が渦のように積み重なっていて、これは読みにくくてもったいない。おそらく貴重な内容のものもあるんじゃないでしょうか。
珍しいひょうたんと古いひょうたんを合わせて「珍古瓢」。うーむ……。日本語として間違ってはいませんが、ヒャッハーな観光客たちが、この言葉をわざわざ声に出して読むことを狙っているように感じられてなりません。
さて。この展示室のハイライトはジオラマです。明日はその画像を見てくださいね!