ひょうたんの聖地・養老(5)安田ひょうたん店の品揃え
by 丸黄うりほ
昨日に続いて、きょうも岐阜県養老の「安田ひょうたん店」からお届けします。
お店の外側に飾られたひょうたんだけでも、すさまじいひょうたん濃度。中に入ると、もうそれは圧倒的でした。
一人では抱えられないほどの大きなひょうたんに、恐ろしく精巧な透し彫りを施したひょうたんランプ。さまざまな模様を彫り、ペイントをした千成ひょうたんのお守りやマスコット。ひょうたんをたくさんつなげて作った飾り物。季節を感じさせるひょうたんのお雛様。ひょうたんで作った柄杓や入れ物、楽器もありました。お土産にしたいお手頃価格のものから、お祝いや記念品に適した高級品まで値段もさまざまです。
さらに、お店の奥には、大きなひょうたんに模様を彫ったり、紐や房で飾ったり、塗料を塗って光らせた立派な美術工芸ひょうたんたちがぎっしり。長ひょうたんや鶴首ひょうたんを曲げて作ったものや、ガーナ角や UFO やイプなどの珍しい品種のひょうたんもありました。これらは非売品や、価格がつけられないほどの高級品も多いのでしょう。さながらひょうたん見本市。その質と量のすごさにはため息しか出ません。
さまざまなひょうたんがある中で、最も値打ちの高いひょうたんとはどんなものなのでしょう? どれ一つとして同じものはありませんから、そのような質問自体が無効というか、野暮なのでしょうが。
「ひょうたんには理想のプロポーションがあります。たとえば、これです」と、店主の安田さんが、一つのひょうたんを見せてくださいました。上の膨らみ「5」に対してくびれが「3」、下の膨らみが「7」のバランス。そして、上の膨らみの肩に当たる部分がじゅうぶんに丸みを帯びていること。手にされているひょうたんは、確かに完璧な「ひょうたん型」でした。
とはいえ、ひょうたんは植物ですから、理想のプロポーションのものを作ろうとしてもなかなか思い通りにはいきません。そこがまた面白く、奥が深い。お店の一画にはちょっといびつなひょうたん箱もあって、とても安く販売されていました。
また、店内の棚には「全日本愛瓢会」によるひょうたん栽培本や、「瓢道綱領」のプレートもありました。ひょうたん細工の繊細さに感激していたら、安田さんが普段どんな道具を使っていらっしゃるのかも見せてくださいました。
さらには、ひょうたん栽培に対してもプロならではのアドバイスをくださったのです。なんと、私とふじっこさんは「安田ひょうたん店」さんの畑を見学させていただけることに……!それについては次回書きますね。
※次回217日目は2月25日(火)にアップします。