ひょうたんの聖地・養老(3)伝説の主人公・源丞内

by 丸黄うりほ

▲駅前広場に立つ源丞内の像。ひょうたんを持っています!

▲養老公園のシンボルもひょうたん。

▲ひょうたん店かな?閉まっていました。

 

ひょうたんだらけの養老駅を出ると、まず目に入るのが源丞内の像。そして、養老公園のシンボル、ひょうたんモニュメントです。

手にしっかりとひょうたんを持つこの人物、源丞内とはいったい誰なのか?

それは奈良に都があった時代の話。貧しいけれど親思いで心の優しい木こりの源丞内が、ある日山奥で働いていると岩から流れる水が見えました。あの水が酒であったら、父親に飲ませてあげたいなぁ。

そんなことを思っていると岩から滑り落ちてしまったのです。気がつくとどこからか芳しい酒の香りがします。湧き出ている泉の水をすくってみると、これは酒ではありませんか!……というわけで、源丞内は携帯していたひょうたんにその水を汲んで帰り、父親に飲ませました。酒が大好きな父は大喜び。

その話が都に伝わり、当時の元正天皇がこの地に行幸されました。天皇は源丞内の水を飲んで感激し、年号を「養老」と改めるほど。滝は「養老の滝」として有名になり、養老の町は交通の要所として栄えました。そして、ひょうたんは養老のシンボルとなったのです。

源丞内が親孝行な息子であるということから、この話は「孝子伝説」とも呼ばれ、鎌倉時代の説話集『古今著聞集』にも残っているそうです。

水が酒に。それはまあ夢物語なのでしょうね。しかし、養老の水がとてもおいしいというのは本当のことのようです。そして、この話からも、ひょうたんが水や酒の容器として日常的に使われていたことがわかります。

養老公園は、養老の滝や、伝説の泉があるといわれる養老神社、源丞内の墓があるといわれる養老寺、現代アートの荒川修作とマドリン・ギンズによる公園「養老天命反転地」、そのほかスポーツ施設やキャンプ場などを含む広大なエリア一帯を指します。一日がっつり遊べそう。

しかし、私たちは公園の方へは行かずに、次なるひょうたんスポットを目指して歩き出しました。途中で「養老之孝子瓢箪」という看板のある店を見つけたのですが、閉まっていました。ガラス戸のなかにはたくさんのひょうたんが並んでいましたが、人の気配はありません。定休日ではなく、長く営業していないようでした。