大阪音大「楽器資料館」ひょうたん探し(5)弦打楽器ビリンバウ

 by 丸黄うりほ

▲コンゴの「カクルンブンバ」

▲ブラジルの「ビリンバウ」(中央)と「カシシ」(右)

 

大阪音楽大学音楽メディアセンター「楽器資料館」からのレポートは今週も続きます。ひょうたん、またはひょうたんらしきものを素材に使った楽器だけを集中的に探し出して、ひょうたん楽器を作るヒントにしようという試み。きょうは弦楽器のなかでも最もシンプルな構造の楽器にフォーカスします。

コンゴの「カクルンブンバ」は、ブラジルの「ビリンバウ」のルーツとされている楽器です。少し湾曲した木の棒に1本の鉄の線を張った単純な構造の弓に、ひょうたんをくっつけただけ。このひょうたんを腹や胸に当てて、弦を棒で叩いて演奏するので「弦打楽器」と分類されています。

弓に張った弦を鳴らす楽器は「楽弓」とも呼ばれます。もともとは武器だった弓を、矢を用いずにブンブン鳴らしたのがそもそもの始まりではないかと言われているそうです。弓にひょうたんをくっつけることで、音の響きがぐっと大きくなり、良くなった。

そうです、ひょうたんによって武器が楽器に生まれ変わったのです!この瞬間こそ、人類史に残る平和な瞬間と言えるのではないでしょうか!

この「カクルンブンバ」は、地域によっては「ウムドゥリ」と呼ばれている場合もあるようですが、アフリカに広く分布。そのアフリカ人たちが奴隷として捕らえられ連れて行かれたブラジルで、「ビリンバウ」として引き継がれることになりました。

「ビリンバウ」も「カクルンブンバ」と構造はほとんど変わりません。現在は弦にピアノ線が使われているようです。カラフルなペイントがブラジルらしいですね。演奏はやはり棒で弦を叩き、腹や胸に当てたひょうたんで音を響かせます。棒と一緒に「カシシ」を持ち、音程は石やコインで変化させます。「カシシ」は、底にやはりひょうたんを用いて籐で編み上げ、中にビー玉などを入れて作ったマラカスです。

「ビリンバウ」と「カシシ」のダブルひょうたん楽器演奏!なんだか言葉にするだけで幸せな気分になりますね。「これは作らないと!」と、私は今回の見学で思いを強くしたのでした。