温泉県のひょうたん温泉 (3) 新旧ひょうたん風呂

by 丸黄うりほ 

▲旧ひょうたん風呂は女湯にあった!

▲タオルはごく普通。

▲湯上りにはラムネにカルピス。

▲休憩所にも一応ひょうたんいた……。

 

施設内でのひょうたん探しを終えて、いよいよ入浴です。

「ひょうたん温泉」の泉質はナトリウム塩化物泉(弱酸性低張性高温泉)。そして、「ひょうたん温泉」がある別府市鉄輪の温泉はおそらくどこもそうなのだろうと思いますが、湯量豊富で100%源泉かけ流しです。源泉は100℃以上の高温だけど水では薄めず、適温になる冷却装置を開発して温度調節しているのだとか。

女湯にはたくさんのお風呂があって広い。さすが日本唯一のミシュラン三つ星獲得温泉です。

そんななかで私が最初に入ったのは、パンフレットにも出ていた「ひょうたん風呂」です。ひょうたん型をした大きな湯船につかって、身体をぐーっと伸ばせば、ああ気持ちいい。この「ひょうたん風呂」は、最近のリニューアルで設置されたものなのか、とてもきれいでした。「ひょうたん風呂」のあとは、パンフレットの中でいちばん扱いの大きい二つの露天風呂や、瀧湯、檜湯、別府独特のむし湯などを次々に楽しみました。

女湯のなかをぐるりと回って一番最後にたどり着いたゾーンは、ごつごつした石がごつごつしたまま組まれていて、なんだかとてもワイルドな感じでした。他の部分がすっきりときれいなのに対して、ここだけ明らかにトーンが違う。

ふと見上げると、ひょうたんがありました!ひょうたん型をした陶器の注ぎ口から、岩の湯船の中に湯が流れ出しています。「盃風呂」というのが、その名前。ひょうたんから盃にお酒が注がれるようすを模したものなのでしょう。そういえば、その岩風呂は中がくぼんだ盃のような形です。入ってみると、他のお風呂よりかなり熱い!長くは浸かっていられなくて、すぐに出てしまいました。

で、岩の上を見ると観音様でしょうか?なんの神様か仏様かわからなかったのですが、土で作られ、着色された像が立っています。こんなところに神様とは。田舎道を歩いていて、思いがけないところで道祖神やお地蔵様を見つけたときのようにドキッとしました。

その横には「岩風呂」という立て札が。そう、このお風呂こそ「旧ひょうたん風呂」なのでした!

現在「岩風呂」と呼ばれている「旧ひょうたん風呂」は、大正11年に作られた、この温泉の中で最も古いお風呂なのだそうです。上から見ると、なるほどひょうたんの形をしています。入ってみると、隣の「盃風呂」以上に湯が熱い。足を浸けただけでもう無理な熱さです。しかし、この地点こそ「ひょうたん温泉」の原点なのです。

セピア色をした写真の「ひょうたん閣」の中には、この二つのお風呂があったのでしょう。それが、いま残されて女湯にある。

「ああ、やはりここに来てよかった。女に生まれてよかった……」。私はなんだか変な感動をしつつ、のぼせないうちにとお風呂を出たのでした。