ひょうたんを聴く冬至の夜
by 丸黄うりほ
日曜日。冬至の夜に、「年忘れ! 歳末ひょうたんづくし」という音楽会が京都のライブハウス「Zac Baran 」でありました。じつは、このイベントの主催者は私でした。まずは集まってくださったお客様と「Zac Baran 」さんにお礼を申し上げます。
この音楽会の特徴は、「出演者の楽器がすべてひょうたん、もしくはひょうたんルーツの楽器である」ということ。「ひょうたんづくし」というのは盛って言ってるのではないのです。
もともとは、私のひょうたん師匠である奥田亮さんが「京都でライブをしたい」とおっしゃったことが発端でした。奥田さんが京都に来るならぜひ会って欲しいと前から思っていた「baubau」の冷水ひとみさんと渡辺亮さんにも出演をお願いし、快諾いただくことができました。(奥田さんについては176日目、「baubau」については177日目の日記でも紹介しています)
2組の前座として出演したのが、私も参加している「ヒョウタン総研インターナショナル」。全員がひょうたんを育てて、その実から楽器を自作し、テクノポップのカバーなどをするという4人組ユニットです。チューニングの狂いまくったひょうたん音程で、集まってくださった方々をかなり呆れさせたはず。それでもみなさまニコニコと聴いてくださいました。
「baubau」の演奏で使われたのは、ベトナムのダンバウとブラジルのビリンバウ。どちらもひょうたんルーツの民族楽器であるとともに、弦が1本しかないという超ミニマリズム。なのに、まったく単純な音楽ではない!一音一音が巻くというか、曲がるというか、跳ねるというか。ベテランの手にかかれば、1弦のひょうたん楽器からこんな豊かな音が出るんだ……という見本のような演奏でした。
奥田さんは「おくだりょうとひとりひょうたん楽団」名義で、ルーパーを使ってひょうたん音を多重録音していくスタイル。長野県から車に積まれてやってきたひょうたん楽器やスピーカーは、見た目も名前もいちいち面白い。そして、その音は、わびさびとか、脱力系とか、いろいろな形容詞が浮かんだけれど、どれも微妙に外しているような独自世界。楽器といい、そこから生まれる音楽といい、オリジナリティのかたまりのようでした。
年末の忙しい日曜日、ひょうたんづくしなんて珍妙なイベントにどのくらいお客様が来てくださるのか不安だったんですが、ふたを開けてみれば満員御礼でした。かぼちゃを食べると健康になるといわれる冬至の夜に、同じウリ科のひょうたんが奏でる音楽を聴いていただいたみなさまに、ますますの健康と六瓢息災を!