大分・ひょうたん祭り(8)ひょうたん様のご帰還

by 丸黄うりほ

▲御仮所に到着。お疲れ様でした。

▲白装束の清者による流鏑馬で祭りは終わります。

▲ひょうたん様のお顔を拝みつつ……。

 

賑やかな神楽も終わって、お祭りはいよいよ終盤です。

ひょうたん様のご一行は、氏子や見物人の拍手とともに、無事御仮所に到着されました。重いわらじをはいて3時間ほども町を練り歩かれて、さぞやお疲れのことと思います。

「ひょうたん様、明日は絶対に筋肉痛ですよね……」、「私だったら1週間くらいはしんどくて寝込みそう」などと、私は同行者の中野さんとともに囁きあいました。

ひょうたん様は世話役さんにわらじを脱がせてもらい、長ひょうたんの被り物……というより、「ひょうたん様がひょうたん様であるためのお顔」も取り外されて、この町に住む一人にもどって安堵の表情を浮かべてらっしゃるように見えました。

祭りの締めくくりは流鏑馬です。ひょうたん様の赤い装束とは対照的な、真っ白な装束を着た清者が馬にまたがって、これまたひょうたん様の遅い歩みとは対照的なスピードで町を一気に走り抜ける。

ふつう流鏑馬というと矢を射ると思うのですが、ここの流鏑馬は矢を用いません。なぜなのでしょう?

清者にも伝説があるようです。はるか昔、用命天皇が柴山八幡社に参拝に来られ、大野川を渡ろうとされた。そのときに一人の若者が天皇を背負って渡り、以来、清者と呼ばれるようになった、と。

ひょうたん様は町を11組に分け、その年の当番の組から選ばれるということですが、清者のほうは柴山家の当主が先祖代々つとめてらっしゃるようです。

御仮所には神輿が安置され、祭壇が置かれ、果物などのお供えが並べられました。そして、長ひょうたんで作られた、ひょうたん様のお顔もその中に置かれました。今回ひょうたん様になった人と、一緒に歩いていた同じ組の人たちは揃って正座し、順に玉串奉奠を行いました。