ウェスの最後の実、栽培はいつまで?

by 丸黄うりほ

▲ウェス実8号。12月中旬まではこのままで。

 

植物の生命維持にとって最も大切な根が、おそらくもうダメになってしまった老ひょうたんウェスパシアヌス。昨日の日記では、植物の死を見極めることの難しさについて書きました。

生きているのか死んでいるのか。今のウェスパシアヌスが、すれすれの微妙なポイントにいるのは間違いないと思います。水やりを続けても、もうやめてしまっても、おそらく結果はそんなに違わないでしょう。

以前にも何度かこの日記で書きましたが、ひょうたんの実は受粉、結実してもすぐには収穫できません。雌花に雄花の花粉がついて、雌花の子房がふくらみはじめ、やがて実の大きさや形が定まり、表面の産毛がとれて全体が白っぽくなる。ここまできて初めて収穫 OKです。その期間はだいたい60日。早採りしてしまうと実全体が腐ってしまう。ひょうたんの皮を残すためには、完全に実が熟して皮がかたくなるまで蔓にぶら下げておき、栽培を続けることが必要なのです。

では、ウェスパシアヌスの最後の実、ウェス実8号のような場合はどうなるのか。実が熟する前に、苗が死んでしまった場合は?

その場合でも、実はそのままぶら下げておくのがいいようです。苗が完全に枯れてしまっても、寒風にさらされてちぎれてしまっても、カビだらけになってしまっても、そのままぶら下げておく。

ウェス実8号が受粉に成功したのは10月10日ごろなので、少なくとも12月中旬まではこのままぶら下げておくのがよさそうです。苗が元気に生きているときの60日間よりも、弱った苗の場合は完熟に時間がかかるようですから、死んだ場合でもあせって収穫するのはよくないのです。

ぼろぼろでみすぼらしいひょうたん苗、置いておくと邪魔だ、もう引き抜いてやろうか……なんて気分になるかもしれませんが、そこは我慢。

元気だった頃、美しかった頃のウェスパシアヌスに思いをはせながら、静かに余生を見守っていく。そういう気持ちで、もう少しのあいだ、この植物につきあっていこうと思います。