ひょうたんの包み紙とロシアケーキの謎
by 丸黄うりほ

①洋菓子店「コトブキ」の包み紙

②これはどう見てもひょうたん柄です!

③中身は「RUSSIAN CAKE(ロシアケーキ)」

④ケーキというよりクッキー。どこか懐かしい感じ

⑤「ロシアカフェ 神戸ミーシカ」の古池麻衣子さん

⑥古池さんの作るピロシキ、ボルシチは絶品!

⑦お店の飾りや雑貨類もロシアムードたっぷり

⑧でも、ロシアケーキはロシアにはない???
『花形文化通信』編集長の塚村真美さんに、お菓子をいだたきました。その包み紙が写真①②。これはどうみてもひょうたん柄ではないですか!
シャープで幾何学的な線で描かれた、やや細長い優雅なひょうたん形の間には、「KOBE KOTOBUKI since 1947」という文字が読み取れます。「コトブキ」といえば、昭和の頃は浅丘ルリ子さんや岡崎友紀さん出演のテレビCMを流していたくらいメジャーな洋菓子店でしたが、最近はあまり見かけないような気もします。
塚村さんがこのお菓子を買ったのは、奈良県大和高田市だそう。今も店舗があってよかった。たまたま行った高田市駅前に懐かしい店があったので、入ってお菓子を買ったところ、包み紙がたまたまひょうたんだったそう。おそらく「コトブキ=寿」だから、おめでたいサインとしてひょうたん柄が選ばれたのでしょう。
素敵なひょうたんの包み紙をはがすと、小箱には「RUSSIAN CAKE(ロシアケーキ)」と書かれていました(写真③)。箱のふたを取ると、わあ!ケーキときいて想像していたのとは違ってクッキーのように見えますが、とっても可愛くておいしそうです!(写真④)
しかし、このお菓子。なぜロシアケーキという名前なんだろう。ロシアにこんな伝統菓子があるのかな?
ちょうど私はその翌日に、神戸に行かねばならない用事がありました。そして、三ノ宮にある「ロシアカフェ 神戸ミーシカ」にも久しぶりに行きたいなと思っていたところだったのです。
「ロシアカフェ 神戸ミーシカ」は、ボルシチやピロシキなど、手作りの本格ロシア料理と珍しいご当地デザートがいただけるお店。オーナーの古池麻衣子さんは、料理の腕前が素晴らしいだけでなく、ロシアの食についての知識も豊富で、はっきりいってマニアックな方。店頭にはロシアの雑貨類なども並んでいて、路地裏の少しわかりにくい立地にもかかわらず、ロシア人も、ロシア好きの日本人もわざわざ訪れる小さな名店です(写真⑤⑥⑦)。
古池さんならロシアケーキについてもご存知に違いない。そう思った私は、いただいた包みをそのまま持って、神戸へ向かいました。そして、古池さんにお菓子を見てもらったのですが……。
「ロシアケーキってね、ロシアにはないんですよ」と、古池さん。以前、他の人にも聞かれたことがあるそうなんですが、ロシアケーキは日本発祥のお菓子。だから、ロシアの人に言っても「???」なんだそう。
一応、スタンレー・オホッキーというロシア皇帝お抱えのパティシエが1931年に来日した時に製法を伝えたとされていて、ロシアにはこれとよく似たお菓子があり、クラビエと呼ばれていることも教えてくださいました。さらにクラビエにはペルシャ(イラン)、トルコ、タタール(クリミア)、ギリシャなどさまざまな起源説があるらしい。古池さんと話しているうちに話はどんどん奥深く、果てしなく。食文化のつながりって、本当に面白いですね。
さて。ロシアケーキを味わってみると、少しほろほろとした食感。焼いた生地の上にさらにクッキー生地をしぼって二度焼きしてあるのが特徴です。ジャムやチョコレート、ナッツなどで飾られ、それによっていろんな風味が楽しめるのもいいですね(写真⑧)。
「コトブキ」の店舗は、調べてみたところ大和高田市のほかに、徳島県阿波市、東大阪市、大阪府池田市、和歌山市、三木市にあるようです。どこか懐かしいロシアケーキをひょうたんの包み紙に包んでもらえたら、きっと午後のティータイムが幸せでいっぱいになることでしょう!
(1440日目∞ 4月8日)



