いまさらやめときますとも言えません

by 奥田亮

ささきりょうたさんとの即席バンド「おっちょこせっかいず」 写真:小島有

フリーダムをぶっ放すつもりがしっとりしてしまった。写真:中島敏子

2月13日、ひさびさのライブ出演がありました。小布施町にはうちスワロー亭と、もう1軒本屋があって、そのkibi店主の小島有さんが、長野市内のおしゃれなカフェnorth.south.east.westで企画したライブです。出演は、ジャズピアノトリオと弾き語りのささきりょうたさんの2組だったのですが、先月になって私もささきさんと一緒に演奏できないかとの打診があったのです。

というのも、昨年12月、小島さんの本屋kibiの1周年記念イベントに、ささきさんと私と妻の中島さんの3人でライブをする予定が、ささきさんのまさかの病欠で実現しなかったので、リベンジの意味もあったのでした。

ささきさんの歌とギター、中島さんのジャンベ、そして今回私は、楽器を基本《べんべん》に絞って演奏。ささきさんのオリジナル曲を中心に約30分、脱力感満点のライブに、お客さんもずいぶんゆるんでくださったようで、おしゃれカフェが和やかな場になりました。

1曲だけ私がメインの時間をいただいたので、先週ご紹介したリード楽器《フリーダム》を吹くことにしました。《フリーダム》の脈絡のない音に、ささきさんのジャンベ、中島さんのレインスティック《無病雨乞杖》による演奏は怪しい儀式っぽくもあり、場違いではあったのですが、終わってみると意外と好評でした。若い学生さんからもお褒めいただきましたよ。わからんもんですな。

我々の出番が終わり、ビールを飲みながら次に出演したしっとり大人なジャズトリオを聴いていたら、主催の小島さんから「最後にジャズトリオに加わってポエトリーリーディングをやるんだけど、《フリーダム》で参加してもらえないか」という相談がありました。おしゃれなジャズに、どんな音が鳴るか吹くまでわからない《フリーダム》での参加はかなりハードルが高いのは自明のことでしたが、フリージャズ的にならできるかもと思い、無謀とは思いましたが参加することにしたのでした。

いよいよ最後になり、私も舞台に呼ばれました。こういう時はだいたい即興セッションでカオスになるもんだと思っていたのですが、なんだかピアノがスローなソウルバラードを弾きはじめ、ドラムもベースもしっとりと大人のモード。え? ここに? フリーダムをぶっ放すの? でも、立ち位置もセンターになってしまい、いまさらやめときますとも言えません。しかたない、なるようになれと、とりあえずフリーダムに思い切り息を吹き込みました。そうしたら、まあ、なんということでしょう。バックで流れていたピアノのコードにピッタリの音が出たのです! しかもきれいな音で! 

え? と思いながらも、たぶん次の音はピー、てかブーとか変な音になるに違いないと指穴を適当に開けて次の一息を吹くとまたピッタリ! ??? 何で? その後は何かゾーンに入ったのか、どう吹いても合う音ばかり。たまにこんなことがあるんですよね。なんだか気持ちよくなって吹きまくってしまいました。聴いている人は、奏者自身がこんなに驚きながら吹いてるなんて思いもよらないし、そんな音の出る楽器なんだな、ぐらいにしか思ってないでしょうね。

ただ、演奏が終わってからはたと気づいたのですが、ポエトリーリーディングのタイミングや、ジャズの定石であるソロ回しなど、全くすっ飛んでしまって、ホントにほとんどずーっと吹き続けてしまったので、申し訳ないやらお恥ずかしいやら…。いゃ〜まだまだ人間がこなれてないすね、でれろん。

(1421日目∞ 2月16日)