不測の事態が次々と起こります

by 奥田亮

KIBI1周年記念イベントで演奏。弾いている楽器は《べんべん》。(撮影:中島敏子)

私の住む長野県小布施町に昨年末、わがスワロー亭以外にもう1軒本屋が出来ました。小布施町出身の若きデザイナー小島有さんが営むKIBIという名前の本屋です。先日開店1周年を迎え、その記念イベントを12月20日に開催するということで、出店の依頼をいただきました。徒歩5分ほどのところにある、見方によってはライバルでもある店のイベントに、自分の店を休んで出店するというのもおかしな話かもしれないのですが、開店前からいろいろ協力させていただいていたので、1周年イベントへは喜んで参加してきたのでした。

あわせてイベントでは、トークやライブなど盛りだくさんのプログラムがあり、その一つとしてシンガーソングライターのささきりょうたさんと私のコラボライブも計画されていました。ささきりょうたさんとは、 YouTubeでラジオをやったり、今取り組んでいるレコーディングに参加してもらったりと、いろいろ一緒にやる機会がある気心の知れた間柄ですが、人前で一緒に演奏するは久しぶりだったので、いつもなら適当に当日ちょっと打ち合わせをして本番に臨んでいたのを、今回はちゃんと練習をしようということになりました。ささきさんのオリジナル曲を中心に5、6曲、コード進行を理解し、展開もちゃんと決め、今回はスワロー亭の中島敏子さんにもパーカッションで入ってもらってみっちり練習。さらに録音を聴きながらの自主練もして、当日を迎えました。

ところが当日の朝、どうもインフルエンザにかかったかもと、ささきさんから電話。あらら、それは大変。ということで、急きょワンマンでやることになってしまいました。そうなると段取りも構成も、持っていく楽器もすべてが変わってしまいましたが、逆に、いつものような感じになったといえばなったのでした。

イベントはDJがダンスミュージックやアンビエントな音楽を流す今風の世界。ライブのメインはDJやトラックメーカーとして活躍するXTAL(クリスタル)さん。ああ、今はこういう音楽が主流になってるのか、と浦島太郎のような心持ちになりました。当初の予定だったささきりょうたさんの歌が登場すれば、それなりにバランスが取れたのでしょうが、ひょうたん引っ提げたじいさんひとりで大丈夫なのか……、一抹の不安を抱きつつも、なんとかやり終えました。何人かの方からは好評の感想をいただけたのがせめてもの救いでした。

左がKIBI店主の小島有さん。

《無病雨乞杖》を紹介。(以上、撮影:中島敏子)

やっぱり私はマイクをつないだりエフェクターをかけたりということがどうにも苦手で、どういうわけかリバーブが効かなかったり、いつも出る音が出なかったりと不測の事態が次々と起こります。最後に生音で中島敏子さんに《無病雨乞杖》を鳴らしてもらい、私がリード笛《フリーダム》をぶっ放すという儀式めいた曲が一番楽しかったのでした。でれろん。

(1403日目∞ 12月22日)