あんなところに「へうたーん」! どうやって取ればいい?

by 丸黄うりほ

①「へうたーん」の実、あんなところに成ってる?

②高さ5メートルはある柿の木の上です

③自然に落ちてきた「へうたーん」の実

④まだ4個はぶら下がっているのが確認できます

10月のある日のことです。田辺市のヒョータニスト、ともきちさんのSNSに、今まで見たことのなかった「へうたーん」の実の写真がアップされました(写真①)。

ともきちさんは、「へうたーん」と名付けた雑種のひょうたんの苗を自宅の畑にいくつか植えて、とくにひょうたんだけに手をかけるのでもなく、周囲に勝手に生えてきたいろんな植物や雑草のなかで、とてもおおらかな栽培を続けてこられました。都会のマンションのプランターで、肥料や農薬をこまめにやって過保護に育てている我が家のひょうたん栽培とは真逆です。

かなりわがままな植物であるひょうたんが、そんなやり方で育つのかな?と感じるくらい、自然でのびのびとした栽培方法でしたが、10月9日の「ひょうたん日記」でお伝えした通り、13個もの「へうたーん」の実を見事に収穫されました。

いやー、本当に素晴らしいなと思っていたら。なんと、まだ他にも実ができていたそうなのです。育て主のともきちさんすら、気がつかないところで……。

写真②をご覧ください。①の実を、引きで撮ってみるとこんな感じ。まったく、なんと高いところにぶら下がっているのでしょう!

「あんなところにへうたーん! お分かりいただけただろうか。屋根よりも高い柿の木のてっぺん、おそらく地上5メートルくらいのところにぶら下がる丸い物体…。あんなところに成っていたなんて全然気づかなかった。しかも、ざっと見たところ4〜5個はある。どうやって収穫すればいいんだ??」と、ともきちさんのコメント。

「へうたーん」のたくましさに感動した私が書き込みをすると、「落としたら確実に割れてしまいそうな高さ。しかも結構大物です。さて、どうやって収穫したものか…」と、返信がありました。

うん、本当ですね。どうやって収穫したらいいんだろう……。私も考え込んでしまいました。

ともきちさんの写真アップから約1カ月が立ち、私は「へうたーん」がどうなったのか、また気になり始めました。思い出したのは、2021年のこと。我が家でつくったイプの苗を引き取って「ぽんず」と名付け、大阪市西成区の「ココルーム」の庭に植えてくださったしょうゆさんのエピソードでした。

2021年10月26日の「ひょうたん日記」を読み返してみると、「ぽんず」が高い木の上に、人知れず実を二つもつけていたことが記録されていました。蔓が枯れてしまってから実が成っているのに気づいたしょうゆさんは、下から蔓を引っ張って、網で実をすくいとったとのこと。

ともきちさんは、「へうたーん」の実をどうされたのだろう。メールで再び尋ねてみました。すると、なんと。「先日2つほど自然に落ちてきて、なぜか傷一つついていませんでした。でも、まだいくつかぶら下がったままなので、なんとかして取りたいと思っています」とのこと!

自然に落ちてきた?「へうたーん」、なんとすごいひょうたんなのか!

その実の写真を見せてくださいとお願いしたら、さっそく送ってきてくださいました。それが写真③です。落ちてきたときは緑色をしていたそうですが、その後放置していたらカビが全体に生えてしまった。もとはずっしり重かったそうです。

さらに、「こんなのがまだ木の上に数個ぶら下がっています!」と、ともきちさん。最新の写真が④です。下から見ると、少なくともあと4個はできているのが確認できるそう。まだ実は緑色をしていますね。

高いところですから、人の手で授粉作業はできません。つまり、これらの実が結実したのは、花粉の媒介を行う夜蛾たちがちゃんと仕事をしてくれていたということです。

大自然の営みって、本当にうまくできているんだな。残りの実たちも、うまく収穫できますように!

(1387日目∞ 11月12日)