鶴屋八幡の成瓢(なりひさご)、8月は黄色

by 丸黄うりほ

①和菓子の老舗「鶴屋八幡」本店に行ってきました

②8月の上生菓子「成瓢(なりひさご)」

③中身は優しい甘さの白餡

④ひょうたん型の干菓子も見つかりました

「花形文化通信」の塚村編集長からまたもお菓子情報をもらいました。「近鉄百貨店の鶴屋八幡さんで、黄色いひょうたんの上生菓子を見かけました。8月のお菓子だと思うので、今ならまだ買えるのでは?」

情報をもらったのは「えっ、もう8月は数日しかない!」というタイミングでした。これは今行っておかないとまた1年待たねばならなくなる!

というわけで、淀屋橋の「鶴屋八幡 本店」にあわてて行ってきました。

「鶴屋八幡」は日本を代表する和菓子の老舗。知らない方はいらっしゃらないと思いますが、少し説明しておきますと。江戸時代の元禄15年に創業した虎屋伊織を前身とし、文久3年に創業。大阪・淀屋橋に本店を構え、現在は東京・麹町、全国の百貨店などに店舗展開をしておられます。3年前に「大阪歴史博物館」で開催された、大阪の和菓子の展覧会でも「鶴屋八幡」の資料がメインで展示されていました。

淀屋橋のお店に入ると、ショーケースのなかに、目当てのひょうたんのお菓子がありました!お店の方にお菓子の名前を尋ねてみると、「成瓢(なりひさご)です」とおっしゃいます。

「成瓢は鮮やかな緑色をしたお菓子だと思っていました」と私が言うと、お店の方は「7月の成瓢は緑色で中身が小豆餡、8月の成瓢は黄色で中身は白餡なんです」と説明してくださいました。なるほど、7月と8月で異なる、2種類の成瓢があるのですね!

「1個から買えますか?」と尋ねてみると、「はいどうぞ」と。私は7月26日の「ひょうたん日記」(1346日目)で、「鶴屋八幡」さんに成瓢というお菓子があるのだけれど、10個以上の注文に限るようだ、と書いていたのですが、これは古い情報、あるいは誤った情報だったようです。ここでお詫びして訂正させていただきます。(編注:おそらく季節はずれの注文の場合と思われる)

ふと目を横にそらすと、夏の干菓子の詰め合わせが飾られていました。小箱のなかでは朝顔が目立っていましたが、そのなかにひょうたんがあるのを私は見逃しませんでした。小箱の横には干菓子のショーケースもあり、こちらも1個から買えるようでしたが、そのなかにはひょうたんはありませんでした。

「ひょうたんの干菓子がほしいのですが、これは詰め合わせだけの商品ですか?単品でいただくのは無理でしょうか?」

自分が無理を言っているのは自覚していましたが、お店の方は中の方と相談してくださったようで、「こちらも1個からどうぞ」とおっしゃってくださいました。少量の購入なのに、融通をきかせてくださってありがとうございます。

というわけで、無事に自宅へ持ち帰ったのが、写真①の包みたち。

写真②が8月の成瓢です。ふっくらと丸い下半身に、手で成形されたくびれ。割ってみると、中身は白餡で、外側は黄色い求肥(写真③)。求肥はもちもちとしていて、白餡は優しい甘さでした。

ひょうたん型の干菓子も、少し首をひねった形が可愛い(写真④)。ほんのり抹茶風味でした。口の中に入れると、すうっと溶けて、さすがのおいしさです。

来年は、7月になったら忘れないように、緑色の成瓢を必ず求めようと心に誓いました。

(1360日目∞ 9月3日)

  • 丸黄うりほ ライター・編集者。ひょうたんをタネから育て、その実から音の出るものを自作し、演奏する楽団「ヒョータニスト・パーティ」のメンバー。ソロで「オール電化ひょうたん」としても活動中。ひょうたん栽培歴は15年ほどになるが、畑がないので毎年マンション(大阪市北区)のベランダでプランター栽培している。「花形文化通信」では、ほかにインタビュー記事を担当。
  • 2025年度ヒョータニスト(ひょうたん栽培&加工に挑戦中のみなさん)
  • コンさん(吹田市)、イハリコさん(吹田市)、杉浦こずえさん(大阪市)、たみさん(守口市)、中野由紀昌さん(福岡市)、塚村編集長、KFさん(東大阪市)、ともきちさん(田辺市)、モリカワさん、ヤブタさん(淡路島)、おーさきさん(小野市) ※順次追加していきます。