小さくてもそれなりにしっかりしてくれればしめしめ
by 奥田亮

新たにできていたひょうたん2つ。
今年のひょうたんはひと苗1つずつ、大寿1号と2号で打ち止めと思っていたのですが、2、3日家を明けて帰ってきてみると、あれれ、いつの間にかまた結実して大きくなりはじめた実が2つ、最初にできた大寿1号のすぐ近くに並んでぶらぶら。
1号と2号はすでに成長がほぼ止まっていてこれ以上大きくならない様子なので、この遅れてきた新人2つは、ちゃんと育つのではないかと思います。形からすると2号の細長い形に似ているので、蔓がビロロ〜ンと1号の近くまで伸びてきて結実したのだろうと推測します。なかなかいい形なので、小さくてもそれなりにしっかりしてくれればしめしめというところです。
さて、そんなうれしい出来事があったのと呼応するかのように、去る8月22日、わが本屋スワロー亭で実りの多いイベントが開かれました。『新百姓』という雑誌の編集長おぼけんさんのトークライブ。『新百姓』は、タイトルからもわかるように、テーマ設定も、制作方法も、今までになかったアプローチで取り組まれている雑誌。0号「問う」、001号「水をのむ」、002号「米をくう」と、根源的なテーマを問うていくスタイルで、幅広い層に支持されています。「百姓」とは「つくる人」。ナンバリングを振った限定少部数で原則ネット販売をしないという、どう考えてもペイしないでしょ、という方法をあえて取り、資本主義というシステムからの解放をめざして問いを立て続けるという取り組みは、なんでもお金で買える時代に、「つかう」から「つくる」にマインドシフトしていこうよという呼びかけでもあるのでしょうか。大いに共感するところです。

雑誌『新百姓』、おぼけん著『新百姓宣言』いずれも「ている舎」刊。

『新百姓』編集長おぼけんトークライブ@スワロー亭(8/22)。左から、施さん、おぼけんさん(写真:中島敏子)
この日のトークは、「新百姓的、この世界の遊び方」と題して、編集長のおぼけんさんと、編集者の施さんのお二人が発刊に至る経緯やコンセプト、これからの計画などを、ソフトに熱く語ってくださいました。おぼけんさんは、書かれている文章から想像していた強面で、近寄ると一刀両断に切られてしまうような印象とは真逆の、いい意味で拍子抜けするほど柔らかでフラジャイルな印象の方。お名前の「おぼ」は、関西言葉の「おぼこい」から来ているのだそうです。でも、そうやって油断させておいて気づけばバッサリ切られている、という恐ろしい術を持たれている気がします。あ、全面的に褒め言葉です。
トークライブには20代から60代ぐらいまで、世代もバックグラウンドも全く違う人たちがたくさん参加してくださいました。予定時間の2時間が終了しても、なかなか席を立つ人がおらず、講師のお二人を質問攻めにしたり、あちらこちらで話が盛り上がったりと、この時が終わるのを惜しむように楽しんでおられたのでした。おぼけんさん、施さん、ありがとうございました。
(1356日目∞ 8月25日)