はー、たいしたもんですなあ。
by 奥田亮

「ああ、発芽してしまった」(4月27日)

思った以上に順調に発芽(5月5日現在)
世間は連休で賑わっていたようですが、うちは全く通常運転。本屋に来てくださるお客さまも、普段に比べると多少多かったかなという程度で静かに過ぎていきました。日中はそれなりに春らしく、あるいは初夏の陽気になって汗ばむこともあるのですが、朝晩の冷え込みはまだ厳しく、5月10日現在、未だにストーブが手放せない状態です。去年もそうだったのかな、いつもはどうだったろうかと思い出そうとするのですが、連休を過ぎれば暑くなってきていたようにも思われます。今年はちょっと気温が低めなのでしょうか。
連休中に菜園用の野菜の苗を買っておいたのですが、お世話になっている農家の友人によれば、まだ寒くて定植はもう少し待とうかなということでした。このままこれくらいの気候でいてくれたら過ごしやしかろうと思うのですが、そうもいかないでしょうかね。
「お、出た」。そんな中、4月中旬にまいたひょうたんのタネが4月27日にひとつ芽を出しました。タネの状態がよくなかったので(去年のタネだったのかどうかもあやふやでした)、正直、芽を出すのかどうかもわからなかったのですが、植物というのは本当に、時節を知るというか、必要な環境が整えば、ちゃんと摂理に従ってくれるよねえ。と、なんというか年寄りくさい講釈が頭をよぎります。
苗ポットのタネはその後も次々と発芽し、結局まいた3種類のタネは全部発芽したのでした。はー、たいしたもんですなあ。3種類のタネは、苗ポットの色を変えてまいたので、それぞれが違う品種のタネだということはわかってはいるのですが、結局どれがどのタネなのかは、忘れてしまいました。双葉の大きさから、だいたいは察しがつくのですが、実際のところは実ができるまではわかりません。さて、何ができることやら。
うちで植えられるのはせいぜい3苗なので、またこちらでもらい手を探そうと思います。あるいはまた、図書館の庭にできたエディブルガーデンにこっそり植えに行こうかと思ったり。いずれにせよ半月後ぐらいには定植することになります。
本当を言うと、発芽しなければ栽培しなくてもよかったのに、という気持ちもちょっとだけありました。もちろん、イヤ、ということではないんですよ。ただまあなんというか、土から顔を出した芽を見たとき、最初に頭をよぎったのが「ああ、発芽してしまった」ということばだったのでした。この複雑な気持ち、おわかりいただけますでしょうか。でれろん。
(1315日目∞ 5月12日)
- 奥田亮 ∞ 1958年大阪生まれ。中学生の頃ビートルズ経由でインド音楽に触れ、民族音楽、即興演奏に開眼。その後会社に勤めながら、いくつのかバンドやユニットに参加して音楽活動を続ける。1993年頃ひょうたんを栽培し楽器を作って演奏を始め、1997年「ひょうたんオーケストラプロジェクト」結成、断続的に活動。2009年金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」展に「栽培から始める音楽」出展。2012年長野県小布施町に移住し、デザイン業の傍ら古本屋スワロー亭を営む。2019年還暦記念にCD『とちうで、ちょっと』を自主制作上梓。