極楽浄土というものがあるとしたら……

by 奥田亮

境内アートでのKAMOSU

境内アートでのEtt

スワロー亭でのEtt

スワロー亭でのKAMOSU

4月19日、毎年恒例のアートイベント「境内アート×苗市」が、町の古刹 曹洞宗玄照寺で開催されました。今回が通算20回目。毎年開催日が微妙に変わるため、境内や隣接する広大な森の桜の花が見頃になるかどうかが話題にのぼるのですが、今年は見事なまでのベストタイミング。満開をすぎ、散りはじめの桜が舞う中での開催となりました。

毎年ゲストにミュージシャンやパフォーマーをお招きするのですが、今年は(うまい具合に)、私の裁量で選ばせていただけることになりました。そこでお声がけさせていただいたのは、EttとKAMOSUの二組。Ettはすでに何回かスワロー亭でライブをしてもらっている歌とギターのデュオ。KAMOSUは、倍音のオーソリティ尾引浩志さんが結成しているトリオ。それぞれ、なんだかんだ20年以上のお付き合いのある人たちです。

舞台は本堂の前の石畳。雲ひとつない晴天の空の下、大きな伽藍にまるで演出のように降りそそぐ桜吹雪。KAMOSUから始まった演奏は、尾引さんの歌うホーメイが不思議とお寺の空間とマッチして、極楽浄土というものがあるとしたら、こんなところなのかしらと思わせるようでありました。KAMOSUの後は本堂内に僧侶が集まって「大般若法要」が執り行われ、終わって最後にEttがしっとりと仕上げてくれて、イベント全体が無事終わりました。

今年は二組とも私の知り合いということもあって、「境内アート」が終わった当日の夜にスワロー亭でもライブを企画しました。ライブのタイトルは「発酵の宴」。Ettのギター奏者 渓さんは無農薬米を育てていて、ここ数年は酒米を栽培し、縁のある酒蔵に米を持ち込んでお酒にしてもらっています。そして、KAMOSUは読んで字の如く「醸す」。聞けば東村山の酒蔵で結成されたということだそう。

この夜のライブがまた、素晴らしかったのです。昼のお寺とは対照的にギュギュッと濃密で、演奏者もリラックスして(すでに一杯やってたりもして!?)のびのびと演奏してくださり、スワロー亭史上屈指のライブとなりました。いや、ほんとによかった。みんな気持ちよく醸されておりました。打ち上げ終了時にはすでに日付が変わっていて、年寄りには少々きつかったのはここだけのはなしです。でれろん。

(1320日目∞ 4月28日)