妙心寺退蔵院のひょうたんなまず(3)
by 丸黄うりほ
「国宝・瓢鮎図」が見たくて、京都妙心寺退蔵院へ。その3回目をお届けします。
方丈(本堂)にサクッと立てかけてあった「瓢鮎図」の模本を見て、その後庭園めぐり。「ひょうたんなまず」は寺院のあちこちに見られて楽しかった。
ですが、実は今回いちばん感動したのはお土産の充実ぶりでした。観光客のハートをがっちりとつかまれました。
今年の春に販売開始されたという「是什麽(これなんぞ)」は、「ひょうたんなまず」モチーフの退蔵院オリジナル茶菓子です。中には餡とドライフルーツが入っていて、フルーツは季節替わり。「これなんぞ?」、つまり「何が入っているでしょう? 」という問いかけになっているのがしゃれています。
そして、このお菓子のパッケージをみてください。昨日の日記を読んでくださった方ならあれだとわかりますよね!
下向きのひょうたんと上向きのひょうたんが交互に11個並んでいます(中央の赤い帯の下に、ひょうたんがもう1個あります)。その上になまずが2匹いるという意匠。これは庭園の門から採用されているのです。しかも、このなまずは透明で、光が反射したときだけ一瞬白く見えるという特殊加工でプリントされていて、本当につかみどころがない!撮影しにくい!まさに「ひょうたんなまず」なのです。1箱6個入りで1300円。ちゃんと六瓢ですね。ああ、わかってはるわ……としか言えません。
このお菓子にぴったりの懐紙にも「ひょうたんなまず」がいました。これはもう素直にセットで買うしかなかったです。
私は、ほかに「ひょうたんなまず」を蓋にあしらった練り香水や、「瓢鮎図」の一筆箋、クリアファイルも買ってしまいました。「瓢鮎図」のポスター、絵葉書などもありましたが、それは我慢。ひょうたん型のお香立て、なまずTシャツ、なまずストラップなども見送りました。
あと、つい買ってしまったのは、芳澤勝弘『「瓢鮎図」の謎』(ウェッジ選書)です。これを読んだら、きっとまた退蔵院に行きたくなるに違いない。知れば知るほど、もっと知りたくなるという円環。
おそらく、私も「ひょうたんなまず」に試されているのだと思います……。
※次回132日目は10月15日(火)にアップします。