空堀商店街でひょうたん探し[2]お茶屋さんのひょうたん

by 丸黄うりほ

①空堀商店街にある「宇治茶園」

②店頭に、豊臣秀吉の馬印、千成ひょうたんが!

③ひょうたんは、外国人観光客の目も引くようです

④右端のひょうたんはご主人が栽培・収穫されたもの

⑤立派な長ひょうたんも飾られています

⑥店内のあちこちにひょうたんが

⑦鉄瓶にもひょうたんモチーフ

⑧ひょうたん型の漆塗りの茶さじを買いました

ひょうたんグルメ班」で、大阪の街をコンさんと歩いた翌日のことです。私は午前中に用事を済ませ、一人で午後から再び空堀商店街へと向かいました。昨日耳に入れた「お茶屋さん」のひょうたんが気になって、じっとしていられなくなったのです。

その「お茶屋さん」は「宇治茶園」といい、東西に伸びる商店街の、西寄りにありました。(写真①)

日本茶やお抹茶、コーヒーなどが並ぶ店頭に……、見つかりました!豊臣秀吉の馬印、千成ひょうたんのオブジェが立っています!(写真②)

外国人観光客が多いからなのか、馬印の上の方には英語でお抹茶の淹れ方についての説明が貼ってありました(写真③)。きっと、ひょうたんは外国人の興味も引くのでしょう。さらに、その足元には「豊臣秀吉の馬印」と書いた説明文も。

私はお店の奥にいらっしゃったご主人に、「千成ひょうたんを見せてください。写真を撮ってもいいですか?」と声をかけてみました。すると、「ええよー」と言いながら表まで出てきてくださいました。

昨日、別のお店で、「こちらでは千成ひょうたんをきれいに保存されている」ときいたことを告げると、ご主人はこのひょうたんについて詳しく丁寧に教えてくださいました。

ご主人の話によると、この馬印のオブジェを作ったのは、滋賀県長浜市の商店街と、空堀商店街との交流があった時で、もうかなり前のことだそうです。長浜には豊臣秀吉の出世城・長浜城があり、町をあげてひょうたん推しであることは、以前「ひょうたん日記」でも詳しく紹介しましたよね。

空堀商店街は、もともと大阪城を守る「空堀」があった場所に作られた商店街。長浜と同じく豊臣秀吉に関わりの深い町であるということで、ともにひょうたんの馬印を飾ることになりました。つまり、この馬印に使われているひょうたんは、長浜からやってきたものだということになります。

「ただし、いちばん上のひょうたんは私が付け替えたんや」とご主人。長く店頭に飾っている間に、破損してしまったのだそう。きれいな金色に塗られて、今はこのひょうたんがひときわ光を放っています。

ご主人は長浜市と交流があった時に、長浜の人からひょうたんのタネをもらい、栽培したこともあるそうです。

その時に実ったひょうたんは、今もお店の奥にぶら下げられています。写真④をご覧ください。「宇治茶園」という店名プレートの上に下げられた5つのひょうたん。その右端の、緑色の紐が結わえられた、くびれの強い、とても形のいいひょうたんが、ご主人が育てて収穫したひょうたんなのだそう。

「ひとつしか実らなかった」とおっしゃいましたが、だからこそ余計に愛おしい。とても大切にされていることがこちらにも伝わってきました。

さらに店内を見回すと、あちこちに大小のひょうたんが見つかりました。なかでも、お店の中央に飾られた長ひょうたんは1メートル以上ある立派なもの。(写真⑤⑥)

「これもひょうたんやで」とご主人が指さされた先をみると、火鉢に鉄瓶がかかっていました。よーく見ると、その鉄瓶もまた、ひょうたんモチーフではないですか!(写真⑦)

「ひょうたんの鉄瓶は、もっとすごいのもあるんやで」と、もう一つの鉄瓶も出してきて見せてくださったのですが、こちらは写真撮影NGとのこと。骨董品としてかなり値打ちの高いものらしく、鉄瓶の表面にいくつも下がった立体的なひょうたんの造形が見事であることだけは素人の私にもわかりました。

たくさん撮影させていただいたあと、「湯呑みとか、急須とか、お店で購入できる商品に、ひょうたんモチーフのものはないですか?」と尋ねると、ご主人は「ないなあ……」。

「ないですか……」ともう一度繰り返すと、「あったわ!」と。棚の奥から引っ張り出してきてくださったのが、写真⑧です。

天然木に漆塗りのひょうたん型の茶さじ。私はそれを大喜びで買い求め、いいお話をたっぷりと聞かせてくださったご主人にお礼を告げて、商店街を再び歩き出しました。

(1296日目∞ 3月26日)

*明日に続きます