手作りバラフォンとシェケレの晴れ舞台(前編)
by 丸黄うりほ
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①「むらさきmusicラボ」の生徒・S君一家と、Tさん(手前)
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②千成ひょうたんをノコギリで
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③たくさん切りました!
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④丸い穴もたくさんあけました
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⑤解体した古い木琴、割り箸、熱帯魚飼育用のパイプなどを使用
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⑥完成した手作りバラフォン(以上すべて撮影:坂本真理さん)
⑦坂本真理さんによる演奏を聴いてみてください
「ひょうたん日記」を続けて読んでくださっているみなさんにはもうおなじみ、東京・国分寺市で「むらさきmusicラボ」を営んでおられる坂本真理さんから、素敵な写真が届きました。
まずは写真①をご覧ください。まだ草木が青々と茂り、みんなTシャツ1枚の季節です。写真の手前には収穫したひょうたんが並び、人々はみな下を向いて熱心に何かをしています……。何をしているのでしょうか?
写真②と③を見るとわかりましたよね!みんなでひょうたんを切っていたんです。さらに、写真④をご覧ください。切ったひょうたんに、丸い穴が開けられています。
このひょうたんを使って、できあがった楽器が写真⑤⑥。この楽器はいったいなんでしょうか?
「あっ、わかった!」という声がいま聞こえましたよ。では、大きな声で言ってみてください。
「バラフォンですか?」
……そうです、正解です!
バラフォンは、ブルキナファソなど西アフリカ諸国に伝わる民族楽器です。木琴の下に、上部をカットしたひょうたんがたくさんぶら下げられています。ひょうたんは音を響かせるための共鳴具で、わざとクモの巣を張らせ、その震えを加えた音色が特徴という、じつに面白い楽器ですが、日本ではまだ知っている人が少ない楽器だと思います。この「ひょうたん日記」では、1229日目 、 191日目などで、写真入りで詳しく紹介していますので読んでみてくださいね。
写真①に写っている3人家族は、以前(987日目)の「ひょうたん日記」にも登場してくれた「国旗大好き君」ことS君と、Sママさん、Sパパさん。小学3年生のS君は「むらさきmusicラボ」に通う生徒さんです。
S君は昨年5月に開催された「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」(「ひょうたん日記」1179日目)でバラフォンの音を聴いて気に入り、8月の「むらさきmusicラボ」での「ひょうたんワークショップ」の時には、「バラフォンを作ってみたい」と発言。この年齢にしてこの渋いセンス、素晴らしいですね!
さらに、S君の希望を聞いたママとパパが、楽器づくりに協力してくれることになりました。ラボで収穫したひょうたんを家族で洗い、乾かし、切って、穴をあけ、写真④の状態に。
古い木琴を解体して、ママと一緒にYouTubeで音を聴きながら調べて、アフリカ音列に並べ、鍵盤の裏にひょうたんを並べて吊るしました。ひょうたんの切り口にはクモの巣のかわりにトレーシングペーパーを使用。木琴と木琴の間には割り箸、熱帯魚飼育用のパイプを通し、それらを縛るにはキャンプ用のひもを使ったとのこと。土台になる木の部分はパパが作ってくれたそうです。
9月には鎌倉市の大船フラワーセンターで開催された「ヒョウタン展」を家族で見に行って、楽器の構造についてさらに研究されたようです。こうして、家族全員の創意工夫と熱意によって、世界にたったひとつの、このひょうたん楽器が生まれました!
どんな音が鳴るのかは、⑦にYouTubeのリンクを貼っていますので、ぜひ聴いてみてください。演奏しているのは坂本真理さん、曲は坂本さんによるオリジナル(即興演奏)です。
(1285日目∞ 2月26日)
*明日に続きます。