秋田の伝統工芸、樺細工のひょうたん茶さじ
by 丸黄うりほ
先週木曜日の「ひょうたん日記」の続きです。年末の京都・東山で、偶然ひょうたん製の看板を見つけ、その下に並ぶうまそうな焼豚に胃のあたりをつかまれた私。しかし、「いやいや。悪いけど、きょうはあかんねん」と、その手をはらいのけました。なぜなら、この日は夕方から出町柳のカフェ「かぜのね」で、きりたんぽを堪能することが決まっていたのです。
題して「きりたんぽとホーメイの夕べ」。主催の和田史子さんは、トゥバ共和国に伝わる喉歌・ホーメイの名人であり、イギル、ドプシルール、ショールといったトゥバの民族楽器の演奏家でもあります。その豊かな音楽を聴きながら、秋田県の郷土料理きりたんぽ鍋をいただくディナーショー。こんな組み合わせが楽しめるのは、地球上でもおそらくここだけでしょう!
というのも、和田さんは秋田県のご出身。以前、和田さんが作ってくださった本場のきりたんぽ鍋は驚くほどおいしく、今回もお店の扉をあけて中に入ったとたん、鶏だしの香りを嗅いだだけでよだれが出そうでした。山盛りの新鮮なセリ(なんと根も食べる!)、マイタケ、ゴボウは歯応えもよく、ダシをたっぷり吸い込んだ手作りのきりたんぽは身体をほかほかに温めてくれます。(写真①②)
おいしい音楽と鍋の両方にすっかり幸せな気分にしてもらい、適度にお酒も入って天国にいるよう。そんなときに……、なんと、さらにテンションの上がる出来事がありました!
写真③④をご覧ください。ひょうたんの形をした茶さじ(茶箕)です。なんと、この可愛い茶さじをその場で私にプレゼントしてくださったのです!
あまりの可愛さと、思いがけないうれしさとで私はとっさに言葉が出ず、ついつい「うわぁぁぁ」と悲鳴のような声が出たと思います。
和田さんによると、この茶さじは秋田の伝統工芸である樺細工。「秋田の家にはたいがい樺細工の茶筒があって、茶さじがひょうたんの場合も多いです。亡き伯母の家からもらってきた茶筒にもひょうたんの茶さじが入っていて、私も愛用しています」とのこと。
調べてみると、樺細工と呼ばれるけれど材料はヤマザクラの皮で、天然のものだけあって同じものは二つと作れないそう。うれしい!一生大切にします!
さらに、現在京都にお住まいの和田さんは、京都の「大徳寺黄梅院」にひょうたん型の池があり、春と秋に公開されていることも教えてくださいました。私のひょうたん狂いをたびたび気にかけてくださっていることが、そのことからも伝わってきます。感謝の言葉をいくつ重ねても足りません。本当に、ありがとうございます!
最後に付け加えた写真⑤は、本日の私のおやつセットです。いつものほうじ茶と普通の大福が、可愛いひょうたんの茶さじのおかげで一気にグレードアップ。お茶の時間がますます楽しくなりました♡
(1274日目∞ 1月29日)