エスニック系やナチュラル系に微妙な違和感を覚えていた……

by 奥田亮

ひょうたんで作ったと思しきハリー・パーチの創作楽器

昨晩からまた積雪です。例年、雪は年が明けてから積もることが多いのですが、この冬はすでに雪かきを2回しています。雪がないのも寂しいですが、多いのも困ります。ほどほどにお願いします。そんな中、長野県で一番小さな町、小布施町では、20年ぶりの町長選が行われます。これまでずっと選挙なしの無風だったのが、今回は2人が立候補。何やら町が落ち着きません。選挙というか、お祭りというか……。

先週は、何やらやる気が出ない、重たい腰が上がらないとぐだぐだ言っておりましたが、いよいよ今週は!……やっぱり相変わらずの状態であります。一週間ってすぐたちますねえ。

さて、そんなやる気のない私に、ちょっと刺激を与えてくれる情報が入ってまいりました。去る10月末、九州の出版レーベル字像舎 から『いまこそ聴きたい孤高(マーヴェリック)の響き 僕が出会ったアメリカ実験作曲家たち』(藤枝守著)Amazonへ という本が発刊され、先日出版を記念したトークショーをオンライン配信で視聴したのです。

字像舎は、編集事務所「瓢箪座」を主宰する中野由紀昌さんが立ち上げた出版レーベル。字像舎のロゴにはきっちりひょうたんも組み込まれています。中野さんとは、先日逝去された松岡正剛氏が校長を務めるイシス編集学校 でご縁をいただていた方。ひょうたんつながりで丸黄うりほさんとも交流があります(と、幾重にもご縁が繋がっていて、なかなか話が進まないので省略させていただきます)。

そのトークショーを視聴して改めてわかったのは、アメリカの実験音楽家の中には、非西洋世界の「民族音楽」や「ノイズ」などの中に新しい音楽の突破口を見出そうとしていた人がたくさんいたということでした。とくに興味深かったのはハリー・パーチ。名前と存在は知っていましたが、今までちゃんと認識していなかったなんて迂闊でした。独自の音律理論を打ち立て、その音楽を具現化するために40種類以上の楽器を創作。うーん、こんな人だったのか! 丸黄うりほさんから、「ひょうたんで楽器を作ってますよ」と教えていただき、よく動画を見ると確かにひょうたんで作られた楽器がありました。そうか、ハリー・パーチは大先輩だったのか!

改めて考えると、自分がはるか遠くの方で目指しているのは、ハリー・パーチのような実験音楽の系譜につながる音楽なのかもしれないと思ったのでした。さまざまな国や民族の音楽や楽器に限りない興味を抱きながらも、ダイレクトにその世界に入ることを避けてきたのは、そんな到達点を遠くに見ていたからなのではなかったか。エスニック系やナチュラル系に微妙な違和感を覚えていたのは目指す到達点が違っていたからなのだ考えるとなんだかもやもやがスッキリしたのでした。

なにやら話が大きくなってしまいましたが、きょう21日は冬至ということで、来年から先にむけての指針が定まったようで幸先が良さそうです。とりあえずは、この本をじっくり読んでみることにしましょう。え、まだ読んでなかったん?? へへへ、でれろん。

2024年の「でれろん暮らし」は、今回で最後になります。来年は1月6日から配信させていただきます。皆さま、良いお年をお迎えください。

(1263日目∞ 12月23日)